第19話 開始の一手
朝一番で日用雑貨屋にいく。
・・・開いてない。
ドアを叩く美香さんとリアス。
・・・リアス、お前もか。
ドアがゆっくりと開く・・・。
中からげっそりとなった職人と店主が出てきた。
「お、お前らとは思ったよ・・・。」と
死にそうな声で呟いた・・・。
そして「今出来上がった・・」と。
刃渡り約80センチ。少し厚みがある・・・包丁。
先端に刃を付けた柄が約1メートルの・・・ナイフ。
片方が研がれた・・・盾。
「魚捌くと言いながら、本当は魔獣をやるんだろ?
だから少し厚みを持たせた。」
「そして完全に硬くすると折れるかもしれないので
硬度はそれほど高くない。か、・・・撓る。」
「切れ味はそっちの男のナイフよりは残念ながら劣る。
・・・すまねえ」
美香さんは袋を職人に渡した。その袋には
「ウゾの物。さわるんじゃねえ」と書いてあった。
「その袋はこの職人にあげたのよ、いいわね?」と
美香さんは店主に言った。
店主はヤレヤレと頭を搔きながら苦笑いした。
そして、中を見た職人はとても元気になった。笑顔。
それぞれが手に持つ。
「何これ持ちやすい・・・」と勇樹君と美香さん。
「バランスは取ったつもりだ。それ以上は無理だ」
と職人。
「あれ、軽くなってる・・・」とリアス。
「盾の内側も少し削った。防御しながら攻撃するんだろ?
咄嗟に構えられるようにに軽くした。
それ以上は無理だ。それ以上するとただの板だ。」
リアス笑顔。
少し滑るかな、と美香さん。そう言うと持つ所を
布で巻いた。うん、これでいいと笑顔。
「慣れるまでは滑るかもな、それでいいと思う」
職人はそう言うとクラクラするので寝る、とつぶやき
中に入っていった。
店主も「今後ともごひいきに」と一礼し中に入った。
そして私達は西門へ向かう。
昨日の二人がすでにいた。
全員ミノタウロス挨拶をする。・・・私もした。
3人の武器を見て
「これは面白いね!ワクワクする!」とシャルルさん。
二人の腰を見ると
シャルルさんは2本の短剣。
スコティさんは両手にはめる爪をぶら下げていた。
「笑えるほど前衛ばっかりだわ。」とシャルルさんが言うと
スコティさんの細い目が、さらに・・1本の線になった。
そして遺跡に向かう。
試し切りをしたいので道中は任せて、と美香さん。
うんうん、と勇樹君とリアス。
中級の魔獣が5匹ほど現れる。
お強い(多分)二人は腕を組んでみている。
美香は包丁を持ち構えると・・・いきなり突っ込んだ。
右手で持っていた包丁を両手に持ち、そして切り上げる。
私は絶句した。そして・・・使えてる!と驚愕した。
明らかに剣だ。それは包丁と言いながら剣だろう!
まて、片刃なので・・・刀!?
しかし、剣は剣だろう!
勇樹君のは魔剣だ。だから勇樹君は使える・・・。
まて、魔剣も剣・・・だろう。
なぜ二人は使えるのだ。
包丁だからか・・・刀だからか・・・。
二人がそう思ってるに過ぎないではないか!
12種類の武器から・・・
条件から・・・「何かが」漏れているのか。
いつの間にか勇樹君も突っ込んでいた。
左手を前に右手を柄の後ろに持ち
魔獣の目のあたりを右から横に滑らし
少し回り込み左から頭を刺す。
いや、それ槍だろうに!なんで扱えるのだ!
ものの数秒で2匹の魔獣は煙とともに灰になった。
ふとリアスを見ると、やはり突っ込み
左から剣を横なぎにすると、その反動を利用し
右から頭の部分を盾でぶちかました。
もう、柄のついてない斧だな。・・・・いや、
斧ではない・・・盾だ。そうなのだ、盾なのだ。
気が付くと残りの魔獣も片付けていた。
後ろから拍手が聞こえ
「つよいねぇ、強い。うんうん」とシャルルさん。
しかし・・・とつぶやくと
二人は前衛として
男の子は本当は前衛じゃないだろう?
動きが慣れていない。全く。
と言った。
すみません、すみません。本当にすみません。
この美香と言う姉さんは中衛どころか後衛に属します。
本当にすみません。精霊使いです。と私が言うと
まじか!と驚きを隠せないシャルルさん。
「もう・・・シャルルの周りは変なのばっかりにゃ」
と目をほそ・・・いや、
いつもの目でスコティさんが言った。
ふと美香さんを見ると威張ってた。
・・・勇樹君は凹んでいた。
こっちがボスの所の近道とスコティさんが言い
とことこと歩いていく。
ボス戦ということで勇樹君は弓を持つ。
「なにそれかっこいい!」とシャルルさん。
・・・少し威張ったかのように勇樹君が見えた。
面白いパーティにゃ。と歩きながら猫さんが言う。
面白い方がいいにゃ・・・と付け加えた。
そしてボスのいる所の少し手前で打ち合わせようと
私が提案する。私は思案する。作戦を!
しかし、私はあえて全員に聞いてみた、作戦を。
それでこそ、このパーティの軍師!
そして全員が言う。
「開始から突っ込む」と美香さん。
「開始から突っ込む」とシャルルさん。
「開始から放つ」と勇樹君。
「開始から突っ込む」とリアス。
「開始から突っ込むにゃ」とスコティさん。
全員の作戦を聞いて私は言う。
・・・・作戦はこうだ。
「全員、開始に突っ込め・・・。」
そしてボスのいる広間に入る。
ファフニールが現れる。
ファフニールは
「ほう、たったのそれだけで我に挑もうと・・」
と言ってる途中
「ファ!?」と声を発する。
・・・全員すでに突っ込んでいた。
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