第33話 愛人と言う名の
ソミュール達が狩りから戻ってきた。
「おお!やっと帰ってきやがった!
今晩は宴会だな!婆ぁ達も呼ぶぞ!」とウゾ。
それぞれ再開を喜び大はしゃぎ。
今この村には何人住んでいるんだ?と
バーボン様は聞くとボルドーは
「30人くらいかなぁ、人間は。
吸血族は俺達十数人だけだが、集めれば
100人はすぐに集まるぞ」と。
じゃあエルフとドワーフ、鬼人も呼べ。
出来るよな?出来ると言え。と
バーボン様は脅す。
一気にこの村を立て直す。
まぁ最初は建物を整備する。元の街までとは
行かないがちょっとした街にはしたい。
その為には労働力だ。集めろ。
そうそう、と前置きをして
「集める時にジェニエーベルの名前を使え」
と言った。
全員驚く。
吸血族全員心配な顔をし
「本当に大丈夫なんだろうな、青の国は」
とボルドーは言った。
「絶対に問題ない。俺を信じろ。俺が
手紙を直接したためたんだ。」
バーボン様は自慢げに自信たっぷりに言った。
バーボン様は美香さんをチラチラ見てる。
褒めてほしいんだろう・・・。
美香さんはその時ソミュールと話し込んでいた。
少し、しょんぼりしたバーボン様を見てしまった。
そして宴会。
「この腐れ指揮官が!」と石を投げる真似をする婆さん。
「腐れじゃねえよ!屑とはよく言われていたがな!
腐れてるのは婆さんの体じゃねえか!死にぞこないが!」
とそこまで言うのかとバーボン様。
しかし、婆さんたちは大笑いだ。
「あんたがジェニエーベル様に苦労を掛けたら
あの世から足を引っ張るからね!」とも言う。
全員大笑い。
もう飲めや歌えの大宴会。
もうすぐお開きと言う所で婆さんは言う。
「本当に頼むよ。本当に。あんたがジェニエーベル様に
付いてくれるなら心強いよ。
この村を立派にしておくれよ。本当に本当に頼むよ」
とバーボン様の手を握る婆さん。
「あたりまえだ。俺を誰と思ってる。
稀代の指揮官だぞ。任せておけ。
この村が立派になって、街になって、そして
紫の国が復活だ。それを見て笑え。
そして安心して死ね」
とバーボン様。
婆さんは
「最後のセリフはルナティア、ざまぁみろ。
っていってやるよ」と涙を流しながら言った。
その頃 青の国
ねぇ、ベル?息子さんからの手紙よ。
どれどれとベルは手紙を読むと笑う。
手紙には
「紫の国を復興させるので金を貸してくれ。」
と一行書いてあった。
どうするんだい?ルナティア様。と問いかける。
ルナティアは笑いながら
貸すに決まってるでしょうに。
必要なら人材も貸すわ。
面白そうだからジェニエーベルが国を
復興させるって他国にも伝えておくわ。
そう言うとルナティアはグラーブを呼び
少し待たせて手紙を書く。直筆だ。
これをクレマンの村に居る
バーボンとジェニエーベルの所に届けて。
と手紙を渡す。
はいはい、と言いながらグラーブは受け取り
「久しぶりにそんな楽しそうなルナティア様を
見ましたよ」と付け加えた。さらに
バーボンの愛人になってらっしゃい。
と言われグラーブは少し照れた。
他にも文官を呼び
赤の国と黄の国に使いを出すように言いつける。
「ジェニエーベルが青の国で紫の自治区を治める
領主となる」と伝える様にと。
そしてベルジュラックに言う。
バーボンは青の国を乗っ取るとか言ってそうね。
私はね、誰が国の頭なんて興味ないのよ。
ただ、この地に住む者が幸せになってくれればいいの。
いっそのこと黄の国も赤の国も一緒に一つの国に
なってほしいとも思ってるわ。
多分言っているのは
エアストだとベルジュラックは思う。目が金色だ。
ルナティアは続ける。
私にはウォッカが刺した魔剣の刃が刺さってて
ルナティアから出れないわ。どうあがいても。
サンテミリオンが居ないとはいえ
エンドは封印が解ける可能性がある。
零ではないわ。そう、ジェニエーベル。
そもそも封印が維持されていることが不思議。
それをずっと考えているの。
怒りに任せて攻めちゃったけど
サンテミリオンが死んだときは焦ったわ。
考えて、ジェニエーベルが居るからと思って
探させたわ。
私が紫の国の後ろ盾になる代わりに
完全に手の内における。
私がジェニエーベルを操るわ。
それしかないもの。
バーボンが何をしようとしているのか
楽しみだわ。いつも私を楽しくしてくれる。
ウォッカなんて選ばなくて
私と結婚すればよかったのに。
そう寂しげにつぶやく。
ベルジュラックはルナティアを見る。
・・・ルナティアの目は光っていなかった。
色男はいつも女を泣かせる。嫌だねぇ。
とベルジュラック。
数日後 クレマンの村
美香さんとソミュールは旅の準備で忙しそうだ。
ウゾとファルツは凄く残念そうに
旅の準備を手伝っている。
何故なら、バーボン様がご立腹だったのだ。
「なんで男どもがうちの美香と一緒に行けるんだ?」
と。
何故私であればよかったのでしょうか、と問うと
君は無害そう。というか男の匂いすらしない。
そもそも男らしいという欠片もない。
君なら安心だ。美香をと一緒でもいい。
褒められてるのか貶されてるのか・・・。
「あ、バーボン様いたし」と声がした。
綺麗な鎧を着た戦士が立っていた。
ルナティア様から手紙を渡すように言われた。
はいどうぞ、と凄くフレンドリー。
「ちょっと見ない間にイイ女になったな、グラーブ。」
とバーボン様。
「そりゃぁあもう、
バーボン様の愛人になろうと思ってね」
と笑いながら言う。
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