第25話 真実①

全員椅子に座り、バーボン様の話を

きこうとしていると、美香さんが話し始めた。



私は唯ちゃんに父様と母様は死んじゃったと

言われてきたわ。


小学校の頃からアニメとかゲームが好きで。

中学の時かな、ゲームを進められて「紫の国」ね。


のめり込んだわ。シナリオはなかったけど

スキルを覚えたり魔法を覚えたり。

武器はタクトしか選択できなかったけど。


ほぼほぼの魔法とか精霊使いとして覚えることは

覚えたの。

唯ちゃんにもキレイに魔方陣を描くって褒められたわ。


冗談でこれなら異世界行っても生きて行けるねとか

二人で話して笑ってたわ。


でも・・・父様も母様もなんで死んだのか、

どうやって死んだのかって聞くといつも

黙り込んで、そのうちに話すよ。と言っていた。


あっちでは勇樹君と友達で勇樹君のお母さんとも

気が合っちゃって。話すのは楽しかった。


あ~。私と同じでヲタクと思ってたし。

実はコミケにも一緒に行った事があって・・・。

異世界ラノベをお互い交換し合ったり。それでね、

わたしのフィギュア欲しそうに見てたわ。


あ、そういえば勇樹君も「紫の国」してて、

でも弓しか使えなくて。だけど、

私の「紫の国」には存在しない刀があって。

ヴァージョン古いのかな、とか思って。




あれ・・・。私何話してるんだろう。



あれ、なんで私・・・泣いてるんだろう。



バーボン様は優しく、とても優しく微笑んでいた。


「ジヴァニア、まぁお茶でも飲みなさい」と言うと

美香さんは黙って下を向き、そして涙を流していた。


「勇樹君、いままでジヴァニアと仲良くしてくれて

 本当にありがとう」とバーボン様は言うと、続けて


「それともジェニエーベル君と言った方がいいのかな」

とも言った。


やはり知っていた。いつからか。


「どこからどこまで知ってるんですか?」と勇樹君は

バーボン様に言うと


「全てさ」とバーボン様は答える。


そしてバーボン様はお茶を一口飲み

「私の話を聞いてくれるかな」と言うと話し始めた。



まず、ジヴァニアとばば・・・いや、

ベルジュラックが何故、行方不明になったか。

結論から言うと、ルナティア様、いや神エアストから

逃げる為さ。


あ、因みに逃げた先は俺の故郷ね。

俺、あっちからの転移者だし。自力でこっちに来た。


まぁ、俺の話はあとでいいか。


当時、というかその時は魔王エンド討伐作戦中でね。

でも魔王を倒せないという事、いや、

倒してはいけないとわかった時に一部の人たち、

私やウォッカ、知ってると思うがジヴァニアの母さんだ。

そうそう、他にもジェニエーベル、きみの母さんもだ。


魔王エンドの元にたどり着いた数十人は

魔王エンドと対話したんだよ、

私達も聞きたいことあったしね。まぁ

「私が」だけど。


そしてある契約の提案を受けた。

それをベルジュラックに伝え、そして

ベルジュラックは苦渋の決断をした。


そう、ウォッカをエンドの眷属、そう魔族だ。

魔族にした。他にもいる。



ジェニエーベル、きみの母さん。

サンテミリオンも魔族だ



君たちは知ってるはずだ。有名な話だ。

サンテミリオンが死んだときに

「王妃の遺体はなく、ただ灰のみが残っていた」と。


人間が死んでも灰にはならない。焼かない限り。

魔獣や、魔族が死んだら煙と共に灰になる。

エンドとの眷属契約が切れるからだ。

まぁ、詳しくはわからないがね。



私は固まる。衝撃の事実だった。というか

なぜ気づかなかったんだろう。ただ、物語性を

持たせるための装飾と思っていた。


そしてその時、私は勇樹君を見れなかった・・・。

どういった表情をし、どういった態度なのかは

全く見当がつかなかった。


そして私達は、というかウォッカが

創造神エアストを封印した。


実際、魔王エンド討伐は創造神エアストとの

永遠ともとれる戦いだ。


エアストの眷属は人間だ。

そしてエンドの眷属は魔獣、魔族。

実は亜人とかもエンドの眷属だ。

まぁ知らないでエアスト側についてるけどね。

だってエアストは優しいし。


エンドはエアストを滅する事を良しと「していなかった。」

エアストはエンドを絶対悪として消滅させる事を

望んでいた。


有名な話だ。光がある所に闇がある。ってね。

光だけの世界。闇だけの世界。そんなものはない。


二つの存在。そう、エンドとエアストが居ることで

この世界を維持するとエンドは言った。


私達は一生懸命考えたよ。そして俺は支持した。

エンドの元にたどり着いた者たちに説明した。

なにせ稀代の青の国の指揮官、

それも異世界転移者が支持し説明したんだ。

そりゃ全員納得したよ。


そして、均衡がとれないほどの力を持ってしまった

エアストをどこかに封印することとした。


しかしすでにパワーバランスは崩れていた。

その為にエンドの力を増大させるために

数人が眷属って言うことだ。


エアストは実体を欲しがっていた。そこで

名乗りをあげたのはルナティア様だ。

まだまだ、子供だった。しかし、即答だったよ。


話は少し端折るが、ルナティアが体に

エアストを取り込み、存在を確定させた所で

魔剣で切り離し、すぐにサンテミリオンが作った、

エンドと同じもので封印しようとした。


しかし、エアストを封印する寸前でウォッカの、

エンドの魔力で作った魔剣は折れた。

というか、折ったんだ、ウォッカが・・・自ら。


私達が思った以上にエアストは

ルナティアに入り込んでいた。

ウォッカとサンテミリオンは、このままでは

ルナティアは死ぬとわかったんだろう。


そのまま、ルナティアを封印結界として

エアストを封印したんだ。


ウォッカとサンテミリオンはその事を、

その時の事を

「もう少しうまくできたのではないか」

「自分に力があれば」

と何度も、何度も後悔してたよ。






















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