第4話 いざ洞窟へ

「魔族ってなんだろうね」と勇樹君。


「亜人に対しての蔑称でしょ?コルンも言ってたし」

と美香さん。


「そっか、・・・そっか」と勇樹君は

納得しない感じで呟いた。


確かに、魔王エンドが復活し、魔族を従え・・・

とあるならば亜人たちが先頭となり戦うはずだ。

しかしどちらかと言うと亜人たちは人間と共に

魔王エンド側の魔獣と戦っている。


勇樹君の言う通り魔族とは何なんだろう。

そもそも存在するのだろうか。


魔王エンド討伐を物語として盛り上げる為の

ただのスパイスなのか。


「まぁ魔王エンドが小物ってことがわかったわ、残念」

と美香さん。


魔王エンドを小物扱いしたのはあなたぐらいです。

「話は戻りますが」と私は話を切り替える。


緑の自治区は精霊使いが多く、学習院があるくらいです。

ベル様と美香さんが行方不明になったのも

緑の自治区のはずです。行方不明になる前、

ベル様は緑の自治区、当時は国ですね。

そこに数年間滞在し、いろいろ研究されてたみたいですよ。


近くのミゼンヌ草原に洞窟があり精霊使い用の

高級素材とかとれるので、冒険者たちもその洞窟で

魔獣討伐とかしてたみたいです。


「なんでそんなこと早く言わないの」と美香さん。


そりゃそうだ、自分が行方不明になった所だ。

その街に行き色々調べたいのだろう。


「その洞窟に行くわよ!」と美香さん。


そっちかよ。


「じゃあ、その緑の自治区、唯さんがいた街にも

 洞窟の帰りに寄ろうか」と勇樹君。あなたが正しい。


というか洞窟に行くって確定じゃないですか。


「なんか冒険者らしくなってきたわね」と美香さん。


いつのまにか私達は冒険者になっていた・・・。


二日後


「もう緑の自治区です。ミゼンヌ草原はもうすぐです」


そう言うと美香さんと勇樹君は色々と準備している。


美香さんはベル様が持ってきた「タングステン」という

素材でできたタクトをクルクルさせている。

「やっぱこれね、しっくりくる。」と美香さん。


勇樹君はあちらで準備した弓を手入れしている。

本当にかっこいい弓だ。そして目立つ。


「勇樹さん、ちょっといいですか?」と私は

勇樹君に語り掛ける。


「その弓ですね、かっこいいんですがすごく、目立ちます。

 そんな形状の弓はこちらにはありません。なので、

 よっぽどじゃない限り、人前で出さない方がいいです。」


「う~ん、これしか持ってないよ、でも」と勇樹君。


「なので準備しています。はいこれ。」と言い私は

 ユネーフェルの街で買った弓を渡した。

「結構高かったんですから、大切に使ってくださいね」


弓の加護がある人たちがよく使う中級の弓です。

今後はそれをメインに使った方がいいと思います。

と、私は言葉を添えた。


勇樹君はすごくうれしそうに弓を受け取り

色々な角度から眺めそして「ありがとう!」と言った。


まだ何も付与されていないので美香さんに

何かの属性を付与させてもらってもいいと思います。


でも属性付与するとそれと反する属性には強くなりますが

その逆も起こるので考えて付けたほうがいいですよ。


と説明すると、勇樹君は

「この弓なら攻撃特化よりも補助系がいいな、汎用性を

 高くしたい。」


美香さんが付与できるのは主に攻撃系の付与です。

ステータスで見ました。


と言うと、「うんうん」と美香さん。


では今回はそのままで洞窟に入り探索して、帰りに

緑の自治区でなにか付与しましょう。


そう言うと勇樹君は「それでいこう」と納得した。


「なにか、コルンってさ」と美香さんが切り出す。


「あれね、なんか私達の指揮官みたいね。

 いろいろ知ってるし、それにとても説明が上手い。」


美香さんが私を褒めた!?雨が降る。


「でも3人しかいないのに指揮官はあれね、言いすぎたわ。

 知恵袋でいいわ。」


天候は雨のち晴れらしい。


そうこうしていると洞窟についた。


「あの人たちは?」と勇樹君。

私は説明した。


冒険者が潜る時に馬車や荷物が取られたり

荒らされたりしないように見張ることを

生業にしている人たちです。


キチンとその国に申請して素性もしっかりしている人たちです。

まぁあちらの世界で言うと公務員ですね。

なので安心して冒険者たちは潜ることができます。


そして預かる契約の時間が過ぎてその冒険者が戻ってこないと

事と次第では探索中の冒険者へ使いを出し

緊急依頼書を出します。


これだと潜っている冒険者も無理をせずに時間が来ると

帰ってくることになります。だって捜索されちゃうと

パーティにとって恥ずかしい事ですからね。


「へぇ、しっかりとした仕組みね。」と美香さん。


この仕組みを作ったのはまだ幼い頃のルナティア様ですと

言おうとしたが止めた。


私達は預かり所で色々な書類に記入したりサインをしたりする。


「ほう、あんた学者さんか。ってあんた、いや、

 あなたブラント家の方なのですね。」


私が二人の事を話そうとすると


「あ、いいですよ、傭兵さんでしょ?ブラント家の方が

 連れているのであれば大丈夫です。。・・・ぶっちゃげ

 素性がわからなくても文句言えませんよ」

とその受付は苦笑いし書類を受け取った。





「美香さんや、ちょっといいかな」と勇樹君。

「なんでしょう、勇樹さん」と美香さん。


「忖度ってこういうこと言うんだね」と勇樹君。

「えぇ、初めて見たわ」と美香さん。

























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