第38話 勝負の行方

猫耳だ。猫耳付きのフードをかぶり

魔導士っぽいローブを着ている。


「いい加減いい歳なんだからやめろよ、そんなの」

「そんなんだから嫁の貰い手がないんじゃないか?」

と下手すりゃ外交問題に発展するレベル。

しかし、まだ紫の国は国ではないのでセーフ。


「うるさいわね」とルナティア様は言うと

ビールっぽい何かを3杯ね!と店員に注文。


バ、バレるのでは?皇女様と・・・。と私が心配すると


バレるわけないでしょう。こんなところに皇女が居るって

誰が思うのよ。そもそも私を間近に見れる人なんて

限られてるわよ。ねえ!飲み物はまだ!?と。

ってかあんた誰よ。


・・・すみません。雑魚です。


まだ注文して20秒もたってません。

一時して飲みものが来ると

一気だ。そう、3杯を一気だ。

そして「もう3杯追加ね!全員!」と宣う。

ここのグラスは小さいのよ!

つぶしてやろうかしら。この店。



止めてください。

権力をそんな感じで使わないでください。


全員に3杯が届くと

今までになかったほどの低いテンションで全員、

ぷろーじっと。・・・もう、ひらがなだ。


「で、明日はどういう段取りなの?」とルナティア様。

「言うわけないだろう、というか決めてない。

 皇女様が来たし。」とバーボン様。


店員さぁん、ジャンジャン持ってきて。

飲み物ここにおいたら次を持ってきていいよ。

バンバン、とも言っている。


ってかよくわかったな、ここ。と聞くバーボン様。

あんたの居場所なんてすぐにわかるわ。と含みながら

ルナティア様。


「ふん、みんなの前だからって皇女様って・・・。

 ウケるんだけど。いつもはルナって呼んでるくせに」


全員バーボン様を見る。真顔で。

勇樹君は何かをメモしている。

「おい、まて国主。何をメモってるんだ」とバーボン様。


勇樹君がおかしい。これはあれだ。酔っ払いだ。

「美香さんに言ってやる」と。


気が付くと何故かルナティア様の前にも

空のグラスが8個ほどあった・・・。

いつの間に頼んだ!そして飲んだんだ!


バーボン様は椅子に思いっきりもたれ

「ああぁ」と深い、

そう、深いため息をついている。


ジェニエーベル、私はね、貴方が国を

復興させるのを手伝う準備はいつでも

出来てるのよ?

自治区でもなく、国としてね。

でもね、タダじゃないの。

それを言おうと来たの。この居酒屋に。


そうルナティア様は言うと一気飲みしている。


なんですか、条件は。

と一気飲みをした勇樹君。

次早く持ってこいや、酒。とも言う。

ルナティア様にも、もっと飲ませろや!

とさらに言う。


エンドの封印よ、あんたがやりなさい。と

さらに一気飲みをするルナティア様。


そんな突然に言われてもわかりませんよ。

そもそも

エンドと俺は何か関係があるんですか?

そして、それはエアスト様のご指示ですか?

と、さらに追加の一気飲みをする勇樹君。


そうよ、と目が金色に輝く。

そして一気飲み。


私はね、多くは望まないわ。

エンドが封印から出なければそれでいいの。

私も封印されてるしね。

15年前、あなたの父上は封印を解き、

エンドを解放しようとした。


そして私の逆鱗に触れた。今思うと私も大人げなかったわ。

そりゃそうよ、生まれてまだ3000年くらいだし。

あれ?2000年だっけ、どうでもいいけど。


でもあせったわ、サンテミリオンが死んで。

封印はあなたの母上、そう、私を封じ込めた一人。

封印を作った者が死んだ。さらに焦ったわよ。


ここで2杯を一気飲み。


でも封印は解かれなかった。まさかと思い

ジェニエーベルを探したわ。確保するために。

でも末端の兵たちは勘違いして、貴方を追い詰め

殺そうとした。もっと焦ったわよ。


でもあなたはどこかへ消えた。

消えてもエンドの封印はされたまま。

よくわかんなかったわ、私は神なのに。


俺の存在がエンドを封印している可能性がありゅとにょ?

と一気飲みの勇樹君。


わからないにゃわいなわ。

でも現状として封印されていりゅ・・・。

とルナティア様は一気飲み。


まさに互角の戦いだ。

しかし、語尾がおぼつかない二人。

というか、何の戦いかわからない。


ふとバーボン様を見ると

眼が下弦の月のようになっており

口も下弦の月のようになっていた。


そういえばさ、

ルナはいい男とかいないのか?と

話題を大きく逸脱した質問を

したバーボン様。


今でもあんたに惚れているのにゃらよ。

と、眼が金色のルナティア様。


眼から光がなくなり、

「なななな、なにを馬鹿なこと言ってにょのよ!」

「私は皇女にゃ!いいのよ、こにょままで!」とも言う。


この子いつもあんたの事ばっきゃり

考えてるのにゃのなよ、

笑っちゃにゃうほどに。と

目が光ってた・・・。


そんなことにゃいないわよ!それ以上言うと

私舌かみ切るわにょに!私が死んだらあなたも死にゅるりよ!

と目が光ってないルナティア様。


・・・ああぁ、

なにかメンドクサくなっている。


そして一人芝居が続いていく・・・・。


ふと勇樹君を見ると料理の皿に顔面をうずめている。

勝者はルナティア様だった。・・・ようだ。


「けけけけけ」と確かに聞こえた。

バーボン様の声が。


もうファルツどうにかしろと、ふと見ると

ポムロールと抱き合い既に寝ていた。


そして「ゴン!」という音と共にルナティア様は

顔面と言うか、おでこ強打でテーブルに顔をうずめている。


「よし、これでいい。・・・帰ろう」

「まさか来るとは思ってなかった。

・・・ フラグは立てたが。」

とバーボン様。そして私に


「お前ルナティア様を負ぶえ。背負っていけ。」と

よくわかんないことを言った。


残りの皆さんは?と聞くと

「いいか?コルン。大丈夫。居酒屋あるあるだ。」と

言うと会計の所に行き

「青の国の会計局に回してて」と慣れた感じで言った。



私は何故か皇女様を背負い、店を出る。


「このまま城の正面から帰ると

 ヤバいから秘密の通路で城に戻ろう」と

バーボン様。


やっぱ、あるんですね、そういうの。と私。

そりゃあもう。と、バーボン様。


そして少し間を置き私に問う。




「お前、今わざと背負いなおして皇女の

 おっぱいを再確認しただろう」と。


















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