第7話 金の生る木

食事を済ませベル様が住まいにしていた所に向かった。

結構探すと思われましたが、すぐにわかりました・・・。

博物館になっておりました。少し・・・人が並んでいます。


「ゆ、唯ちゃんてすごい人だったのね・・・まじで。」と美香さん。

「えぇ、だから言ったでしょうに」と私。


「いや、お世辞かなぁ、と」と美香さん。


私達は普通に並び中に入った。美香さんは

「なんで身内の家に入るのに並ぶのよ」と少しご機嫌斜め。


壁には肖像画や何かの書物、そしてタクト等々。

「コルン・・あのタクトって絶対に偽物よね・・」と

さすがに美香さんも小声で言ってきた。


次の部屋は寝室様な所。

「唯ちゃんこっちではこんな部屋に住んでたのね」

「・・・・本当かどうか分かんないけど」とも付け加えた。


先に次の、最後の部屋に行っていた勇樹君が天井を見上げ

無言で立っていた。

私達もその部屋に入ると、

「・・・・!?」私と美香さんは絶句した。


天井がぶち抜けていた。

ふと床を見ると、黒焦げになっており、

明らかに魔法暴発が起こった跡だった。


「この時に私と唯ちゃんは飛ばされたのね・・」と美香さん。


「俺もこんな感じで飛ばされたのかな・・・」と勇樹君。

「それはどうでしょうか」と私は言い、


基本的に魔法暴発はその魔法が失敗したことを意味します。

なので、この状況で転移が成功したというのは驚きです。

というよりも、さすがのベル様でもありえない。


一つの仮説ですが・・・。と私は前置きをし


もしかしたらこの魔法暴発は、暴発ではなく

わざと爆発させたのではないでしょうか。

固定式の魔方陣を先に完成させておいて時限発動をさせる。

転移の魔法が成功して、ほんの少しの時差で爆発させる。


時限発動式の魔方陣は先代の青の国の指揮官、美香さんの

お父様が得意としていた魔方陣です。それを教えたのが

ベル様なのは必然です。


それであれば爆発に巻き込まれて行方不明、もしかしたら

死んでいるかもしれない。と思わせることができます。


実際に、行方不明とは言っていましたが、ほぼみんな

どう見ても死んでいると思っておりましたし。


実際、こんな博物館になっちゃってますし。


と私は語った。


「そうね、偽装の方がしっくりくるわ」と美香さん。

うなずく勇樹君。


「何故偽装をしてまで転移したんだろう。普通に転移じゃ

 だめだったのかな」と勇樹君。


「そうですねぇ」と私は少し思案し、続けた。


なにかから逃げる為にと思うのが普通でしょう。

実際私もそう思います。


ここは魔王エンド討伐戦で戦場となっています。

であれば魔王エンド、魔獣たちから逃げるたというのが

妥当でしょう。もしかしたら存在が確認されていない

魔族から逃げる為とか・・・。


美香さんと一緒に居たのは多分、バーボン様は戦場に赴き

見ることが出来なかったのでベル様に預けたと思うのが

普通でしょう。


「あれ?じゃあお母さんは?冒険者だったらそういう時は

 冒険しないで一緒に居るんじゃないかな」と美香さん。


「そうですね」と私は美香さんの一言に頷き


可能性から考えるに、美香さんのお母さんも相当の方だと

思います。であれば魔王エンド討伐戦に参加していたと

思うのが普通でしょう。


「あ~、そうね。母さんも唯ちゃんの孫だし。私が

 これだけやれるのであれば

 お母さんも相当だったのでしょうね」

と美香さん。


結局、魔獣の群れから、それも唯ちゃんも驚くほどの

数の魔獣から逃げたという事でその場は収まった。


しかし・・・・


わざわざ時限式爆発を起こした理由は・・・・。

騙すという事は、相手は多分、人間だ。

何処の国の人間?誰から?

まぁ・・・・それがあってるかどうか分かりませんし。


博物館を出て美香さんが聞いてきた。

「ねぇ、ここの収入ってどこ行ってるのよ・・」


多分、青の国ですよ。と私は教えた。

緑の自治区に入るんじゃないですかね。税収みたいな感じで。


「やな感じ。誰よ、こんなこと考えたの」と美香さん。

「国のお役人様だろ?ほら、公共事業とかさ・・・」と

勇樹君は少しニヤリと笑い言った。


実際、私は誰の発案か知っている。・・・ルナティア様だ。

でも言うのはやめた。



同刻 青の国 城内


「ヘックシュ・・・。風邪ひいたのかな」

とルナティア。

「神様も風邪ひくのかい」とベルジュラック。


「そういえばあなたの居た、緑の自治区の別宅。

 あれ、私、博物館にしたのよ。」

とルナティア様。続けて

「もうちょっとってところで逃げられたんですもん。

 変な爆発起こして偽装したみたいだけど。

 頭にきてこの国の財源にしてやったの。

 今でも、いいお金になってるわ」


「神様も頭にくることあるんだねぇ。少しは私に

 入れなさいよ、肖像権の使用料ってことで」

とベルジュラック様。


「いやよ、悔しかったんだし。」とルナティア。




話は緑の自治区に戻る・・・。


じゃあ、出発しましょう。とコルンが言うと

「今度こそイベントあればいいね」と美香さん。


「あー、なんか村人出てきて、魔獣退治して

 なんか伝説の何か的なの貰いたいね」と勇樹君。




いや、村人が伝説級の何かなんて持ってませんよ、村人ですよ?

と、突っ込みたかったが止めたコルンであった。













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