第8話 息子の成長 ガルス(父さん)視点

「何だこれは……」


 俺は、息子のアルが戦っている様子を見て固まっていた。

 アルの親友であるミアがいなくなって、

 アルが森に向かって、走っていった。


 それを聞いて、急いで森まで走っていったのだが、想像とは違い、魔物をアルが蹂躪していた。

 剣で切り裂き、手刀で貫き、蹴りで吹き飛ばす。


 時々、レベルが上がったかのように、動きが早くなったりするが、

 アルは、まだ鑑定の儀式をしていないから、レベルアップすることは、ありえない。


 となると、

「ユニークスキルか」


 ユニークスキル、

 剣を使っていれば取得できる[剣術]、農業をすると取得できる[農業]などの個人差はあるが、努力すれば取得できる“スキル”と違い、

 世界に唯一であり、生まれながらに持っているか、それこそ90年間拳を使って戦い続けた拳聖や、

300年は生きるエルフが、一つのことに熱中して、やっと取得できる特別なスキルだ。 


アルは、まだ5歳だから、おそらく生まれながらにして持ってる方だろう。


「ギャイン!」


そうこう考えているうちに、ついにアルが最後の魔物を倒した。

そして、その後気絶するように……というか気絶した。


「おっと危ない」


咄嗟にアルを掴む。


腕の中の息子と、ミアを見る。両方とも、ぼろぼろで、

特にアルは、[気配察知][魔力感知]で感じる気配が弱まっている。

おそらくMPを限界まで削り、HPもギリギリなのだろう。


「よいしょ」


ミアを掴み上げ、村へと帰っていく。

ミアも、おそらくユニークスキル持ちだろう。

じゃなければ、5歳で魔物と戦い、 

アルが来るまで耐えきることが、出来るわけがない。


だけど、鑑定の儀式でそれが判明すれば、国によって保護され、王都の学院に行くことになるだろう。


だけどあそこは、信用できない。

あそこには、何かがある気がする。


だが、取り敢えずは、息子が生きていたから、良しとしよう。


「よくやった。アル」 


俺は、村へ帰っていった。





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