第18話 第三章 奇襲

「なるほど、では学校側で調査しますので、くれぐれもこの事は、他の人に話さないでくださいね」


「はい、分かりました」


俺は、事の顛末を先生に説明した。

先生は、黒い像のことを聞くと、心当たりがあるのか顔を変えていた。

 

そして夜の十時、森の探索は終わった。


クラスメイト達は、魔物とかの戦闘で疲れたのか、速攻自分の家やら寮に帰って熟睡した。


そうして、俺も例にもれず熟睡する。








「ガハッ!!」


……突然の声で目覚める。 


「なん……、だ!」


壁に突き刺さっているナイフ、気絶している全身黒の男、そして 

 

 MP 1000/1200


結構減った魔力。

恐らくこの男を無力化するのにこれだけ魔力が必要だったのだろう。


取り敢えず、先生に報告しよ―――


 シュパ、シャキン!


「気づいていたか……」

「そっちこそ」


後ろを振り向くと、謎の男は、何もなかったかのように立ち、両手をぶらぶらとさせている。


「出来れば、見逃してくれないかな」


「無理だ。お前は俺たちを敵に回した。

あれには1000人の生贄が使われてたのだぞ。

しかも、拷問、薬物、ありとあらゆる方法で

絶望を増幅させたものを、

お前はたった数時間で水の泡にしたのだ……!」


「やっぱり壊して良かった」


「死ね」


その瞬間、目にも留まらぬ速さでナイフを投げてきた。


ヒュン


それを紙一重で避ける。


このまま避け続けるのも限界がある。

だけど相手の方が扉に近いから、普通に逃げることは出来ない。


ならば……!


「オラッ!」


バリンッ


俺は、窓ガラスを破って外に出た。


「バカが」


その隙を見逃すはずがなく、ナイフを投げてくるが、あいにくこちらには[自動防御魔法オートブロックマジック]があるから平気だ。


俺は、反撃の[虹槍]を残して、学校を飛び出した。


ドンッ


着地したあとは、ただひたすら逃げまくる。

 


「はぁ、はぁ、ここまで来たなら大丈夫だろう」


そう思い、夜の星空を見上げる。

この世界の星空は本当にキレ……あれ、なんだ?


星空に不自然影があった。

普通なら、見えなくても[魔眼]を持つ俺には、きちんと見ることができた。  


学校の方角から伸びる鎖を。


そして、その先端には、とある男がいる。


ヒューン、ドンッ


「見ぃつっけた」

 

……チートかよ。







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