第13話 第二章 化け物(アレク・スタンビート視点)

「[スキル合成]……!!」  


 その声を聞いた瞬間、俺様は、やばいと思った。


 何かはわからないが、とにかくやばい。

 ここで倒さないと、終わる。 

 そう思った。


「[魔剣召喚] 獄炎剣 ヘルファ!!

 神聖剣 ヘブン!!

 スタンビート流魔剣術[神魔混合剣カオスブレード]!!」


 俺のユニークスキル[魔剣召喚]様々な効果を持つ魔剣を召喚するスキルだ。


 獄炎剣 ヘルファ、

 黒と赤を基調とした長剣。全てを燃やし尽くす漆黒の炎をだす。


 神聖剣 ヘブン

 白と青を基調とした長剣。全てを貫く純白の極光を放つ。


 スタンビート流魔剣術[神魔混合剣カオスブレード]

 スタンビート流魔剣術最強の技を、改造した俺様の奥義。


 これによって国を裏切ったAランク冒険者すらも一瞬で葬った。

 これなら、倒せるはず……!


「あいつを! あいつを倒せる力を……!」


 早く早く早く……!


「死ねええええええええええ!!」

 

 これで倒せ

「[魔法消去マジッククリア]」


 消えた。

 俺の切り札が、[神魔混合剣カオスブレード]が消えた。


「は……?」


 どうして、

 目の前を見ると、誰もいなかった。 


「え?」


 気づいたら、俺様は、倒れていた。 


 な、何が起きたんだ……!?


 そして、目の前にいる奴を見る、そして持っている木刀を見た瞬間に全てを理解した。


 俺は、殴られたのだ。ただの木刀で


 そして、その眼を見た瞬間に恐怖に支配された。


 俺を見ているようで俺を見ていない。

 この世の全ての闇を集め、圧縮したような

 暗い、暗い眼だった。

 明らかに5歳児がするような眼じゃない。


 俺は、とんでもないものの逆鱗に触れてしまったのではないか…… 

 後悔してももう遅い。


「あ、ああ……」


「もう……、もう二度と奪わせてたまるものか……」

 

 何かをブツブツと言っている。

 怖い怖い怖い怖い怖い


「お前、お前は何なんだ……ば、化け物……!」


 そう言った瞬間、俺は気絶した。

 気絶する瞬間、俺は見た。

 化け物の眼の奥に、真っ黒な、ただただ真っ黒な刀を。


 あれが何だったのかは分からない。

 だけど、これだけは理解できた。

 俺は、俺は絶対に触れては行けないものに触れてしまったのだと。








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