第27話 第四章 侵入

 俺は、真夜中に行動を開始した。 

 学校は、城程ではないが、かなりの堅固さを誇る。


 生徒や研究者が、魔法で建物を壊さないように、魔力で強化された壁。

 同じ理由で、学校を包み、侵入者を阻み、

 あらゆる外部からの魔法を遮断する結界。


 遥か昔に封印された、邪神を復活させるための本や、魔法関連の人体実験の記録等、 

 外に出たらヤバい物があるため、

 各地に配置された兵士。



 まず兵士については、一番簡単だ。

 気配を魔法とスキルで隠せば終わり。

 壁もまあ、最悪壊せる。

 問題は結界だ。


 結界は、許可なき者が入れば、問答無用で魔法が発動するという、俺の特殊魔法と似たような造りになっている。

 だから、住民達は基本的に学校に近寄ろうとしない。 


 人気ひとけがないことは良いが、もし何も考えずに

[魔法消去マジッククリア]なんて使おう物なら、結界を維持する魔道具がおかしくなり、速攻バレる。


 もしバレたら、学校にいる教師と研究者、大量の兵士と同時に戦うことになり、勝利はあり得ない。 


 だけど、俺は冒険者として各地を周ることで様々な魔道具、スキル、魔法を手に入れた。


「[神眼]」

[魔眼]から、更にたくさんのスキルを詰め込み、時間をかけて進化させたスキルだ。

 これで、この結界の性質を読み取る。


 …………なるほど、どうやらこの結界は空気から魔力を供給し、その魔力を使って結界を維持、余った魔力を溜め込み侵入者に使うようだ。ならば、


「[吸収]」


周囲一帯の魔力を吸い上げる。

これにより、ちょっとずつ結界の力は弱まり、それを補填するために貯蓄された魔力が使われ、

しばらくすると、感知はしても攻撃も妨害もしない、全く意味のない結界になった。


俺は、結界の先に進んでいった。









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