第23話 第四章 魔物討伐

「この森、懐かしいな……」


 俺は依頼で森に来ていた。

 この森は、三年前冒険者になったばかりで、薬草採取をするためによく来ていた。

 ここで役に立つ薬草や毒草を、実践的に学んだのだ。


「あ、回復草だ。こっちには火炎茸も!」


 しばらくの間、森が立ち入り禁止になっていたからか、普段は新人冒険者で取り合いになっていた、植物が結構ある。


 そうして、寄り道をしていると、


「キャァァァ! 誰か! 助けて!!」


……! 

悲鳴が聞こえた方向に向かって走る。


しばらく走ると、開けた場所に出た。


 そこには、人より高い身長、赤い皮膚、黒い角、溢れんばかりの筋肉、そして背負った鉄の大剣。


「ガァァァァ!!」


 C級魔物、オーガがいた。


そして、立ち入り禁止の森に何故か女の子がいる。防具や雰囲気からして新人冒険者だろう。


「キャァァ……! 子供!? なんでここにいるの! 危ないから逃げて!!」


新人冒険者の警告を、俺は無視してオーガに顔を向ける。


「グギャァァァ?」


「悪いけど、ここは冒険者になったばかりの人が、薬草採取とかで成長していく場所なんだよ。

 だから―――死んでくれ」


 シュタッ 


 俺は剣を鞘から抜き、突撃する。


「グガァァァァ!」


 オーガが大剣を振り下ろしてくるが、

 ―――遅い。


 スパンッ

「グギャァァァ」


 俺はオーガの足を切り落とす。

 それだけで大剣は当たらず、俺の横を通って地面に刺さった。


「じゃあな」 


 俺は剣を持ち替え、丁度いい高さになったオーガの首を切り落とした。


【経験値を獲得しました、Lvが53に上がりました。職業剣聖のLvが11に上がりました】


「ふぅ……ところで君、誰?」


「ギクッ!」


俺はこっそり逃げようとしていた新人冒険者に声をかける。


「あなた、何者なの?」


俺の質問に質問で返してくる。


「そっちこそ何者なの?」

「あ、えと私メアリーって言って、その、ありがとうございます。

あの、オーガを倒せるなんて、凄いですね」


まあ新人冒険者からしたら、オーガなんて絶対に敵わないだろうからな。


「ねえ、この事ギルドに報告してもいい?」


ああ、こんな会話を昔にしたことがある気がする。

ミア、元気かな……。


「別にいいよ。俺Cランクだし」


「え! その年でCランクなの!」


「うん、そうだけど」


「あの、……私の、私の師匠になってください!」 


「え?」


この日、俺に弟子(仮)ができた。




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