プロローグ-ある一人の眠り- 2

「うっぐっ…がぁっぁっ……!」 




 思わず声が嗚咽のように漏れた。




 腹に鋭く、そして重く、鈍く、突き刺すような痛みが走る。




 見れば、背中から食い込み、腹へと銀色の刃が赤い液体に濡れて、飛び出ていた。




 その刃は漫画やゲームなどで登場するような重厚な剣<<ロングソード>>。




 あまりの痛みに何かを考えようとすることさえ出来ずにいる僕に対して、刃を突き立てる男は、




「すまない、だが、これも世界のため。恨んでくれて構わない、ただどうか死んでくれ」




 と、耳元で呟いた。




「ま、まっ…」




 とっさに「待って」と言おうとしたが、込み上げてきた大量の血を吐き出し、言葉は嗚咽へと変わりそれも叶わない


 。


 すると男は僕の腹にある剣を横に振り抜き、引き裂かれた腹からはどす黒い血となんらかの肉と臓物を撒き散らす。




 地面に転がり、僕はその男を見た。




 黒い服に、黒いマント。




 それらに僕の血がびっしりと付き、ぬらぬらと輝きを放っていた。




 こいつが…リーティアの言っていた、黒衣の男なのか?




 もう、腕も足も、さっきまでは当然のように動いていたそれらが、今はもうピクリともしてくれない。




 そうして、僕は二度目にして最後の死を迎える。




 意識を手放し、精神が暗闇に囚われるが、先程のように、リーティアが現れることなどなく、つまり、これが永遠の死であることを表していた。


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