ギルド管轄区域 3
俺たち二人は、旅路を基本的にレイムのギフト<<ソウルサーチ>>に頼り道筋を決めている。
しかし、そのソウルサーチでは俺たちが狙う標的がいったい誰なのか、個人の特定までは至らないのだ。
その為、指し示す場所へと向かい、かすかな手がかりをもとに転生者を直接探さなければならない。
とはいうものの、天才というのはおのずと知られ名を歴史に残すのと同じように、転生者はその強烈な才覚により有名になっているもので、大抵は容易く見つかるものだ。
「しかし、まぁ冒険者として大成した以外何もわからないのがな」
と、おれはポツリと漏らす。
シャルロッテ・シュペーテが一体どのようなギフトを用いて戦うのか、事前に予測をたてられるのならたてておきたい。
転生者は皆、強大であり危険だ。
シャルロッテが転生者だとすると、昨日の少年とは違い、ギフトの扱いを既に心得ている。
奇襲、暗殺が出来ればいいのだが、上手くいかなかった場合は相手への理知、情報こそがアドバンテージとなる。
まともに戦えば、五分。
レイムと共に戦えば幾つか分がよくなり、先手を打てればさらにこちらが有利。出来ることであれば、先手が止めであればこれ以上はなし。
敗北しないために、限りなく、限界まで準備をする。
それが俺たちの戦い方だ。
そうして、歩き続けるうちに、門構えの大きな庭を持つ屋敷が見えてくる。
一体、どれほどのシリングが掛かっているのか検討もつかない。
「依頼書を見て、警備に付きたいと思い訪れました」
レイムが普段よりも幾分かは上品な口調で門を守る衛兵に話す。
「ほう、ふたりか…」
衛兵は俺の顔を少し見た後、背の低いレイムを覗き込むように屈みつつ怪訝な表情でまじまじと眺める。
「それにしても……、嬢ちゃん、冷やかしはいけねぇよ。そっちの兄ちゃんはともかく、嬢ちゃんにギルドランクが与えられてるとは思えねぇよ」
衛兵の言葉にレイムはため息を吐くものの、俺からすれば衛兵の感想はもっともなものであった。
「こう見えて、Bランクなんですけど!」
彼女は憤りながらギルドランクを示すために懐から取り出したライセンスを衛兵へ見える。
「なっ!? 失礼致しました!」
Bランクといえば最高ランクには一歩及ばないが、それでも十二分に一流と呼ばれるに相応しいランクであることに間違いはない。
そんなレイムのライセンスを見て衛兵は驚き、慌てて姿勢を直していた。
俺もライセンスを取り出して、衛兵にランクを見せる。
「え、えぇと…Bランクライセンス取得者レイム・レイラ様、及びCランクライセンス取得者ロズウェル・サーヴラム様。当家家長付き執事ヴォルター・ベルレベルグまで案内致しますので、私に着いてきてください」
と言い、衛兵は門を開け別のものに門を守らせてから屋敷へと進む。
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