ギルド管轄区域 2
張り出された木板には整った文字にて、丁寧に文字が書きこまれている。
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『シュペーテ家主催オークション警備傭兵募集
・シュペーテ家にて牧の月15日に開催されるオークションにて、会場に来賓されるお客様及び出品された商品を警備する警備傭兵を募集
・昼夜交代制による計三日間の警備を依頼
・報酬、及び採用はギルドランクによって選考
・応募者は開催日前日までにシュペーテ家執事ヴォルター・ベルレベルグまで
・募集依頼者 シュペーテ家家長シャルロッテ・シュペーテ
・掲載日 訪暦1235年 牧の月4日』
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シュペーテ家はこの街内外問わず、成功者として非常に有名な家系である。
そのシュペーテ家は元々冴えない冒険者の家系であったが、当時まだ幼かったシャル
ロッテの手により様々な財宝を見つけ莫大な富を築き上げ、ここ数年で貴族階級とな
り、この地メルロディンに根付いたという。
「これ、いいね」
「……今日は15日。夜からか……、タイミングもちょうどいい」
俺とレイムはうなずき、そのままシュペーテ家の屋敷へと向かうことにした。
幸い、ギルド管轄区域からはそう遠くない。
「シャルロッテ・シュペーテ……。彼女、確か今年で18歳だよね。貴族階級入りしたのはいつだっけ」
「調べた話だと6年前、12歳のときだな」
俺の言葉にレイムはふぅん…とわずかに漏らし、
「やっぱりあやしいね」
と呟いた。
俺たちはもともと、シャルロッテ・シュペーテを転生者のひとりだと目星をつけていた。
そのため、俺たちはこのメルロディンにて、どうにかシュペーテ家を調査しようと思っていた。
しかし、名家中の名家であるシュペーテ家に簡単に立ち寄ることなど、所詮一介の冒険者である俺たちにできることではなかった。
とはいえ、まさかその手段を探す中で、この世界にひとり転生したばかりの少年に出会うとは、思わなかったが。
ともかくなかなか講じられる手を見つけられずにいた中でまさかギルドリーヴが、しかも直接屋敷の中へと立ち入れるような依頼があるとは、これは思わぬ幸運だった。
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