月明かりに照らされて 2
"信仰都市エルレティア"
そこは神代の時代に、神々が暮らしたという都市だ。
現在では、神話や伝承について記された多くの書物がそこにあるエルレティア神殿図書院に保管されているという。
この世界はあまりにも広大だ。
そのためあてもなく旅をし続けたとしても、リーティアにたどり着くことができるとは到底思えない。
なにか手掛かりを求め、信仰都市エルレティアを俺とレイムはひとつの目的地として定めている。
実際、ただ旅をして、転生者を見つけては殺すだけの道程では澱みがうまれる。
俺たちは、転生者たちにとって、そしてこの世界の神に叛逆するものとして、悪以外何者でもない。
それでも、悪だとしても、依り所が必要なのだ。
「そろそろ寝よっか」
とレイムも自身のベッドへ飛び込んだ。
おれもそれに賛同し、俺は、枕に頭を深く沈みこませて物事を考えるのをやめて、そのまま身体を横にたおす。
「またあした」
「あぁ、おやすみ」
レイムが「ふあぁ」と声をだしてあくびをした。
最終目的はこの世界の神を殺すこと。だれにも認められない旅を、変わらず俺とレイムは明日も続ける。
悩むことではない。
そうだ、だれかが決めることじゃない。
自らで決めた、俺たちが正しいと思う道を歩むのだ。
そう俺は胸の内で、後ろだけは振り返らないように決意して、そのうちに微睡に身を委ねていた。
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