熱下血戦 2

 炎の壁によって直接見えるわけではないが、どうやらすでに、館に訪れていた貴族たちは外へと非難したようだ。



 ロニーというあの冒険者、伊達にBランクを得ているだけはあり、突然のことでも冷静に、そして迅速にやるべきことをなせる男らしい。



 レイムは懐の短刀を取り出して、手のひらを深く切りつける。



「Teach, select, search for the color of your soul, and answer at my expense......」



 ぼたぼたと音を立てて血がこぼれ落ち、その血はふわふわとレイムのあたりをしばらく漂った。



 彼女のギフトであるソウルサーチは、能力発動に使用された血液量によって性質を変化させる。



 その血が多量のときは、近く10mにいる転生者の元へと向かう。



 俺たちの読みが正しければシャルロッテのもとへと、浮かぶ血液は向かうはずだ。




 ……しかし。その血はシャルロッテとは真逆の炎の壁の中へと飛び込んで行った。

 その血の行方に目を奪われていると……。



 直後に、その炎の壁は一本の細剣によって引き裂かれ俺たちの知る男が現れた。



「お嬢様、これくらいならば私の教えた戦闘術でなんとかなったでしょう?」



 炎から姿を見せたのはヴォルター。この家に仕える執事の長だ。



「あなたが昔言っていたことを思い出したの。黒衣の男を倒したいって。直感だけどこの男がそうなんじゃないかなって」



 そう言ったシャルロッテは俺を指差した。



「なんとも…、ありがたいことですが、この館はもう捨てなければなりませんよ」


「いいじゃない、私また旅がしたいわ。あなたと出会った時みたいに」



「まったく、どのような想いでこの館を建てたとお思いですか…

 とにかく、この不届者たちを始末しますので、少しお待ちを」



「えぇ、任せたわ。ヴォルター」



 シャルロッテは炎渦巻く中、適当に腰掛け、俺たちを見つめていた。


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