交易都市メルロディンへ

 俺たちは歩き出し、ここから1番近い街、メルロディンへと向かう。




 しかし、リーティアに召喚された少年が現れた場所がメルロディンの近辺で幸いだった。




 メルロディンは昔からハンターや、領主依頼<<ギルドリーヴ>>につく者で賑わう街だ。




 そのため、血生臭い者共が集まる。




 治安こそ良いとはいえないが、今の俺のように全身を血に塗れていたとしても、好まれことはないが嫌われることもない。




 歩き、しばらくして陽が完全に地平線に呑み込まれた。




「はぁ…」




 またレイムがため息を吐いた。




 指を立て、宙に弧を描き、二度縦に指を降ろす。




 するとレイムの頭上少し前あたりに火を灯しながら俺たちを追従する小さな球体が現れた。




「これ、これだけの灯りを確保するのに私の魔力がどれだけ使われるかわかる?」




 彼女は少しばかりからかうようにいう。




「俺は、魔法はさっぱりだ」




「学校に行けるほど、身分は高くないもんね」




 と言ってクスクスとレイムは可笑しそう俺のことを笑った。




 実際、この世界の学校というのは、入学するだけでかなりの金<<シリング>>を必要とする。




 その為、無学の俺はレイムとの、この旅に出てから行く度となく魔法を彼女から習おうとしたが、下地が違うためか火を起こす魔法すら身につけることは出来なかった。




「答えはほとんど使わない。もっとも普通の人ならそうはいかないだろうけどね。普通は火を松明にしたり工夫するけど、私は魔力消費を抑えることで、自由に火を灯し続けられるようにした」




 レイムは自慢げに語り、得意げな笑みを浮かべていた。




 そもそも俺がわからない範囲のことではあるが、共に旅をする俺が贔屓目に見ても、優れた才能がある彼女だからこそできることなのだろう。

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