第6話 ハートの燃えたぎる俺は、頭が3つあるシベリアンハスキーとタイマン張りました。

「グォー!」


 タクシーを求めて草原を歩いていると、なんかデカい犬みたいな奴に吠えられた。


 犬っつってもあれだぞ? なんか顔3個あるし、なんか4mくらいある。


 で、なんか毛とかグレーだし多分犬種はシベリアンハスキーだ。


 グレーでデカい犬っつったらシベリアンハスキーしかいねぇもんな。


「グォーてお前、俺ぁあれだぞ? 犬は好きなんだぞ? だからおめぇ、んなビビんなくたってよぉ」


「グォー!」


 ガチン!


 差し出した手を噛まれそうになって慌てて引っ込める。


「テメェ、俺ぁ動物好きだから犬殴ったりはなるべくしたくはねぇけどよ? あんまおいたしてっと知らねぇからな?」


 ムカつきながらそう言ってやると、左の顔が返事をする。


「ふむ、人の子よ? 我に恐れをなさぬとは、ただ愚かなのか、それとも“選ばれし者”なのか、測りかねるところだ」


「はぁ? だから俺ぁ動物好きだっつってんだろ! そんな俺が犬っころにビビんわけねーべ?」


「……わ、我、け、ケルベロスに向かって犬っころだと?」


 ピコン!


 若干引きつった顔の犬っころの横にまた黒い板が現れる


【ケルベロス】

レベル:666

力:1250

体力:2666

素早さ:888

知力:250

精神:6666

運:1111

スキル:妖魔炎・状況再現波・アッシュボム・チン○ン(ユニコーン級)



「おっと、ま〜た忍者かよ? ……えーっとテメェ、ケルベロスっつー名前なのか? 悪りぃな犬っころとか呼んじまってよ? しっかしケルベロスっつーのもなんかなぁ……、ケーちゃんでいいか?」



「わ、我がケーちゃんだと……?」


「んだよ、気に入らないのか?」


 ったく、最近の犬っ頃ってのは喋れることにもビックリだが、こーもワガママとはなぁ。


「わーったよ、もっとカッケーのがいいんだべな? ならよ? ケー太郎ってなぁどーだ? 喧嘩強そうじゃねーか?」


「そのようなことを言っているのではない!」


「じゃあケーちゃんでいいじゃねーか!」


 なんかだんだんムカついてきたぞ。なんだよケーちゃんしつけぇんだよ。


「そうではない!」


 そう言うとケーちゃんは雄叫びをあげる。


「いいか、人の子よ。我は冥界の番犬ケルベロス。主君の名の下に、たかだか人の子風情に軽く見られるいわれはないのだ」


 ……なるほどねぇ。


「……なるほどわかったぜ」


「わかってくれたか」


「おう、よーするにケーちゃんはよ? 喧嘩売ってんだべ? 俺によ?」



「……人間風情が」


 喧嘩を売ってることを指摘してやると、ケーちゃんは鋭い視線を向けてくる。


 ふっ、いい目してやがる。嫌いじゃねぇよ、そう言う奴はよ。


 けど……。


「まっ、さっき言ったとーり俺ぁ動物好きだかんよ? ちゃんと怪我はさせねーよーにすんから、安心してかかって来いや!」



「グォーー!」


 三つの顔が一斉に吠えながら飛びかかってくる。


「……上等!」

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