第58話 もうすっかり大人に俺は、ヤンチャな小娘を制止しました。

「ふっ、……ここがフェンリルの村、……ふふふ」


「たのもーー!!」


「ちょ、バカ! やめろ!」


「何よぉー! 最初が肝心、舐められたら終わりだってタケシがいつもゆってるでしょ?」


「し、しかしそれでは好感度というものがだな……」


「なーにシャバいこと言っちゃってんのよ? そんなちっちゃいことにビビってる態度の方が女の子に嫌われるわよ?


「ふ、ふん、べ、べべ別にビビってなどいない! 今のはそ、その場のノリというやつで」


「はいはい、いーからさっさと入るわよ」


 ケーちゃんからスケベ心の相談を受けてから数十分後。


 俺とケーちゃん(300km/h)、勝手に単車(俺の)で着いてきたマーシャル、マーシャルに無理矢理2ケツで連れてこられたガル太郎(白目)の4人はフェンリルの村の入り口までやってきた。


「まぁまぁ待てよ? 勝手に入っちゃ相手に失礼だべ?」


「何よ、アンタまで弱気になっちゃってぇ」


 振り返ったマーシャルは口を尖らせて超気に食わなそう。


 チンピラか。


「いやいやテメー、別に俺たちゃ喧嘩しに来たワケじゃねーんだぜ? 恋をしに来てんだ。なら最低限のれーぎってなぁあったほーがいーべ?」



「えーー? 相手が怒ってきたら前アンタが言ってた“タイマン”ってのやろーと思ってたのにぃ」


 コイツなんで“タイマン”って言う時そんな目ぇキラキラさせやがんだ?


 やたら下ネタも好きだし、なんか思春期境目の中1男子みたいだ。


 ……ちっと可愛いじゃねーか。


「……ふふっ」


「あー! 何よ、アンタ今アタシを小馬鹿にしたでしょ? そーんな細っこい奴が〜とか言いたいんでしょ? こう見えてもアタシはお城で色んな武道を習ってんだから!」


 うーん、なんかちょっと前まで俺もこんな感じだったかと思うとちっと不思議な気分。


 今はなんか別に喧嘩とかそんなしたくないんだよなぁ。


「あら、あなた達は?」


「……おっと」


 声の方を見るとそこにはやたらとシュッとしたデカいオオカミ。


 艶々のシルバーな毛に覆われたそいつはなんかやたらと綺麗で芸術作品みたい。


「おう、俺は……」


「わ! 我は冥界の番犬ケルベロス! 突然不躾ではあるが、魔物同士互いに交流を深めたく、その……」


 ピシッと背を正したケーちゃんは、最初は勢いよく、だけど段々と上擦った声になる。 


「……」


 そしてそんなケーちゃんをオオカミはやたらと冷淡な目でじっと見つめる。


「……うっ」


 シビアな視線に対してガンガンにたじろぐケーちゃんに対して警戒を緩めず、さらにオオカミはバシバシにガンを飛ばす。


 うーん、こりゃダメだ。


「……ふぅ、組織の者ではないようですね」


 そして急に視線をふっと緩めたオオカミは、どこか壊れてしまいそうな危うい感じがした。

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