第2話 埼玉から出たことのない俺は、気がつけば北海道の草原に取り残されていました

 目が覚めるとそこは小屋の中だった。


 ガキん頃、キャンプで来た時泊まったみてぇな丸太小屋、あれ? 俺、キャンプなんかしてたっけか?


 記憶を辿るもののもやっとしてちゃんと思い出せない。


なんか夢の中では変なジジイが、


『見事試練に合格したお主は』とか、


『特殊チート能力を授けて転生を』とか言ってた気がするがなんのこっちゃわからねぇ。


 俺ぁバカだからな。


 昨日助けてやったクソガキがお礼にキャンプに連れて来てくれたんだっけか?


 そんなんじゃなかった気もするがもはや考えても仕方ない。


 とりあえずあのキノコ頭のクソガキを探すとするか。


卍卍卍



 小屋を出るとそこは草原だった。


 地平線が見えちまう程何もない草原が、ただ目の前にだだっ広く広がっていた。


「おいおい、まさかとは思うが……」


 俺ぁ今、あれか?


 もしかして、“北海道”にいるのか?


 もう一度辺りを見回してみる。


 「間違いねぇ……」


 北海道だ。こんな広い草原、本州ではありえねぇよ。


 まぁ俺ぁ生まれてこのかた地元“埼玉”から出たこたぁないが、本州なんてどこもあんな感じだろう。


 それにしてもあのキノコ野郎、いくら助けてやったとはいえ奮発しすぎじゃねぇか?


 っていうかこんなとこに恩人ほったらかしにしてどこ行きやがったん……あれ?


 ピコン!


 という小気味のよい音が鳴るとともに、視界の右上になんか黒い板が現れる。


 黒い板には何やら白い文字で書かれている。


【タケシ・ムトー】

レベル:1

力:9999

体力:9999

素早さ:9999

知力:1

精神:9999

運:0

AP:10000

スキル:速攻治癒・摩天楼・武具マスター・収納ボックス


「おぉ、……なんだこれは」


 漢字が多すぎてなんのことやらサッパリわからねー。


 いっこだけわかるとすりゃあれか……?


 “レベル”ってやつぁ知ってる。


 あれだろ? あの、なんか、CD出す会社だよな?


 なんか長渕さんのCD買いに行った時に見た時あるもんよ?


 で、レベル1っつったらあれか? 俺ぁアーティストを一組だけデビューさせられる権利が……?


 す、すげぇな!


 あのキノコ野郎、感激したからって手厚く礼しすぎだ! こりゃあ誠意の見せすぎってもんだろ。


「ったくよー」


 俺ぁヤクザじゃねんだからよ? 助けてもらっても素直にありがとう言ってりゃ許してやるってのに、なんか不必要にビビられてんみてーで逆に気分悪いからいってんだよ?


 で? ここまでお騒がせしたあのキノコヤローは一体どこ……ん?


「グギャー!」


 なんだ? なんか鳥みてーな声がするな。


 ん? あれは!


 なんかでっけー青い鳥にキレーな姉ちゃんが襲われてやがる。

 


「こりゃあ」


 助けてやるっかねーな。

 

 なんかあの鳥多分4mくれーありそうだけどなんとかなんだろ。


卍次回卍

『男気溢れる俺は、幸せを運んで来なそうな青い鳥とタイマン張りました』

ぜってー読んでくれよ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る