第3話 男気溢れる俺は、幸せを運んで来なそうな青い鳥とタイマン張りました。

「くらぁ! テメェ悪いことしてんじゃねえよ!」


 クソデケェ鳥に駆け寄るなり俺は叫ぶ。いくらキレーな姉ちゃんを脅しているとはいえ、いきなりぶん殴っちゃあカワイソーだからな。


「グギャー!」


 鳥はでっかくて汚ぇ(なんか涎まみれだ)クチバシをおもっきし広げながら俺を威嚇する。


 ……なんて可愛くねぇ鳥なんだ、2軒隣の山田のばーちゃんが飼ってるセキセイインコのぴーちゃんを見習えってんだよ。


 ぴーちゃんはすげぇ可愛いんだぜ? 俺がペットボトルのフタを投げてやんとうれしそーに取ってくるし、いつも『おはよー』っつって挨拶してくれるしよ?


 ピコン!


【グリフォン】

レベル:25

力:85

体力:55

素早さ:120

知力:8

精神:15

運:12

スキル:永久飛行・バードストライク・毒撃


 ん? また黒い板が出て来やがった。


 グリフォンってなぁこの鳥の名前か? それともこのビビって固まっちまってるねーちゃんの名前か? 


 いや、鳥だろ! そんくれー俺にだってわかる。苗字がねーもんな? ふっ、……俺だってまるっきしのバカじゃねーんだ。


 それにしてもこの鳥、レベル25だと?


 つまりこいつは、25組ものアーティストをデビューさせる権利があるってことか。


 くそっ、なんかムカついて来たぞ?


「おいテメェ!」


「グギャー!」


「テメェんなでっけぇ図体して喋れねぇとは言わせねーぞー」


「グギャー!」


「くっ、こいつ、こんなでっけぇくせにぴーちゃんよりバカだってのか?」


「グギャー!」


 ……うおっと、鳥がブチ切れて爪で引っ掻いて来やがった。


 ふっ、しかしこいつも可哀想なやつだ。さいたま市最強と名高い“恐怖のタケシくん”

に喧嘩を売るたぁ……、よ!


「グギャっ!?」


 受け止めた爪を掴んでめいいっぱいの力で上に放ってやると、鳥ヤローはグルリと回転して頭を地面に打ち付ける。


「ぐぎゃあ〜」


 そしてしばらくぴよぴよと変なダンスみたいな動きでふらついている。鳥だけに。


「わかったかてめぇよぉ!」


「グギャ?」


「キレーなねぇちゃんを襲うんじゃねぇ! ぶん殴られたくなかったらどっかいっちまえ!」


「ぐーぎゃぁー……」


 俺が拳を振り上げながら怒鳴りつけると、青い鳥ヤローは顔を更に青くさせながら飛んでいく。


「……ふっ、また勝っちまったか」


卍次回卍

『A(C)な俺は、恐縮するネーチャンをデコピンで黙らせました』

ぜってー読んでくれよ!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る