ムッツリ豚ヤロー編

第8話 バカで嫌われ者の俺は、異世界でロケット花火を喰らいました。

「いらっしゃいませ〜」


「おう、悪りぃんだけどよ?」


 街に着いた俺は、早速キャバクラっぽい店を見つけて店員らしきネーチャンに声をかける。


「ダチと一緒なんだけどよ?」


「あぁはい、何名さまですか?」


「いやぁ、2人なんだけどよ?」


「2名さまなら今から大丈夫ですよー」


「そっか、悪りぃな? あと、俺のダチ、4mくれーあんだけどよ? あと、犬なんだよな」


「……は?」


 ネーチャンが首を傾げると同時に、店の外がざわつき始める。


「ケ、ケルベロスだー!」


 ケーちゃんをフルネームで呼ぶ声が聞こえたので外に出てみると、沢山の人間がケーちゃんを見て走って逃げ出している。


 ……ったく失礼なヤローどもだな。


 確かにケーちゃん見た目はちっと怖ぇけどよ? すっげぇいい奴なんだぜ?


「おいおいテメェらよぉ、ケーちゃんはこう見えてもだな……」


 わーわーと喚き散らす連中に声をかけるも、奴らは怯えるばかり。


「ケーちゃん、悪りぃな?」


「主人よ、気にするでない。人の子風情が我を見たならこれが正常な反応なのだ」


 そう強がるケーちゃんの背中はどこか寂しそうに見える。


「……ま、ケーちゃんよぉ」


 ここで謝り過ぎんなぁダチとして失格だ。いくら犬とはいえケーちゃんにも野郎のプライドってもんがある。そうだろ?


「ここじゃ何だし、酒買って浜辺でも行って飲もうぜ?」


 そう言うとケーちゃんはため息をついてから言う。


「……それも、いいかも知れ……」


 ぴゅ〜、……ドン!


 その時、哀愁を漂わせてカッコつけるケーちゃんの横顔になんかロケット花火みたいなものが直撃する。


「誰だ! 何しやがる!」

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