第52話 多分かなり幸せに育ってきた甘ちゃんな俺は、サバイバルなプリンセスにお節介を働きました。
「パパ、……なにやってんのよ?」
「……うぅ」
バイク(俺の)ですっ飛んで来たマーシャルは国王のオッサンを涙目で睨みつける。
そして神をも恐れぬ筈のオッサンは、何やらオドオドと言葉をつまらせやがる。
ふむ、こいつよっぽど娘を可愛がってやがんな? 目に入れても痛くねぇってやつか。
「……けど」
「けど、なによ! どーしてアタシにいっつもいっつもつまんないことばっかさせんのよ! どーしてせっかく出来た友達に酷いことしようとすんのよ!」
「それは! マーたんが立派なレディになるためなのだ! たくさん勉強して、たくさん習い事して、将来は……」
そこでマーシャルは一際オッサンを睨むと、
「将来は何? パパみたいになれっての? 女の人に虐められるのが好きで、ちょっとしたことも我慢できなくていっつもダダこねてるようなパパに、立派な人になる為の方法なんてわかるの?」
と、一息に捲し立てる。
「……うぅ、けどママだって」
国王が涙目になるとマーシャルは更に怒ったようにピシャリと言う。
「そんなタイミングでママのこと出して正当化しようとしないで。せめて自分の責任で喋ってよ? 人の時間無理矢理奪っといてそれはないよね? ねぇ?」
対する国王は涙目でグジグジと口籠る。
……うーん。
「……ば」
「ば、……何よ?」
「バカーーー!」
オッサンは弾けるようにいきなり怒鳴ると、馬車にかけ戻る。
「……何よ」
……うーん。
去っていく馬車の方を見ながら吐き捨てるマーシャルの肩に後ろからポンと手を置く。
「……タケシ」
そして振り返ったマーシャルの、キツく怒っていて、けれどどこか泣きそうな顔。
「お前……」
どうしてだろう、それを見ていると。
「流石に言い過ぎなんじゃねーの?」
余計なことを言いたくなっちまった。
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