第14話 男気のある俺は、親玉の肩を優しく叩いてやりました。

 ピーッ。


 ケーちゃんは眼球からビームみたいのを発しながらなんかドヤ顔で語り始める。


「説明しよう、この世界の空間は“コスモ”という全てを記録した粒子で溢れている。そして“状況再現波”とは、空間に漂うそのコスモを拾い集め、この場で起こった出来事を数時間前にまで遡って映すことが出来るのだ」


 なんかわからんけどすごそうだ。ダセェけどな。


「ふん、バカバカしい、何がコスモだ」


 豚は言いながらふんぞり返ってる。居直り強盗のような態度にも見えるが、もしかしたらこれ以上自分を傷つけないよう、わざと尊大な態度をとっているのかも知れないな。


 ケーちゃんの眼球ビームをみていると、何も無かったところに豚ヤローが現れる。


「っ!」


「ふん、アッシュ・ボム!」


 巨大な豚は慌ててケーちゃんに飛びかかるが、ケーちゃんのデコあたりから緑色のビームが出てなんか豚のデコのあたりが爆発して遥か後方に吹っ飛ばされる。


「グォぉ! 痛え!」


 そして巨大豚はデコを抑えてのたうち回る。どーでもいーけどさっきからケーちゃん技みてーのやる時いちいちドヤっててマジダセェよ。



「ふむ、主人よ、何やらいいところっぽいぞ?」


 そうケーちゃんに言われて豚ヤロー(劇場版)の方に視線を向ける。

 

 するとヤローは何やら大量の布を地面に広げてニヤついている。


「ぐぇっへっへっへ! ……ゴクリ、こ、これが噂のおパパパパんティというや……」


「うわぁーー!!」


「黙れ!」


 豚ヤロー(劇場版)が喋ってる途中で復活した豚ヤロー(実物版)がキレながらケーちゃんに飛びかかるが、また例の緑のビームをくらいのたうち回る。


「うぇっへっへっへ、村娘たちの脱ぎたておパンティを回収するため、わざわざカモフラージュで為に村の食料と衣類を大量に巻き上げた甲斐があったものだ」


 豚ヤロー(劇場版)はにやけヅラを更に歪めると、唾をゴクリと飲み込む。


「さて、一体全体どんなスメルが我を待ち受けるのだろうか? さて、未知との遭遇にいざ……っ!」


 と、そこで劇場豚は一瞬我に返ると、


「おっといけない。我としたことがズボンを脱ぎ忘れ……」


 と、そこで映像はぷつりと切れてしまう。


「ふん、まぁこれ以上醜悪なものを見続けずとも、真実は明るみになっただろう」


 そう、俺の方を見てドヤ顔で言ってくるケーちゃんに軽くうなづくと豚ヤローに向かって歩き出す。


 くっ、な、なんて悲しい男なんだ。



 そして目尻に浮かぶ涙を感じながら、その巨大な足をポンポンと優しく叩く。


 


「……む、村の奴らには黙っててやんからよ? 食料だけは返しとけ? な、悪いことは言わねーからよ?」



 そんな俺の提案に、絶望豚は力無く、しかし大きく頷いた。



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