ウンコ姫編
第46話 久しぶりのバイクにテンションの上がった俺は、道端で姫を拾いました。
「ぬぅーー、はぁっ!」
初心者ダンジョンを閉鎖に追い込んだ翌日。
俺はあることを試す為に人気の無い広場に来ていた。
そこで俺は右手に思い切り念を込めて叫ぶ。
するとあたり一面が青い光に包まれる。
しばらく経って光が消えたあと、俺の目の前には……。
「おおーっ! かっちょいい!」
一台のバイクが現れた。
俺はバイクの免許もバイクも持っちゃなかったが、たまに先輩とかのを借りて運転させてもらうのは好きだったし、自分のバイク持ってる奴ってかっこいいとも常々思っていた。
けれど仕事の続かない俺は免許代すら貯めることが出来ずに諦めていたのだが、魔法なら出せるのではないかと試してみた結果本当に出て来てしまった。
まぁまだこれがちゃんと動くのかはわからないが、念じるときにはちゃんと、
・CBXみたいな見た目(cbxしか知らない)
・マーシャルのヘッドライト(真ん中に猫のマークがあって可愛い)と白エナメルのタックロールシート、ビートアルフィンカバーとあとプリティーレーシングの4ー2ー1マフラーに改造してあること。
・500キロ出ること。
・マリオカートくらい曲がること。
をイメージして出した。
もしもこの贅沢すぎる妄想が全て叶えられているスーパーマシーンホントになっているのなら最高だ。
ちなみに見た目は完璧にイメージ通りだ。
「……ふふ、うふふ」
俺は口元がニヤけるのを抑えきれないままバイクに跨りキーをオンの位置に回す。
「おおぅ」
メーターの所のニュートラルランプが光り、電気が通っていることを示し更に期待が高まる。
「……よし」
そして俺はドキドキしながらセルスターターのボタンを押す。
キュルルル!
いい感じのタイミングでアクセルを少しだけ吹かすと、
ブォン!
と小気味のいい排気音が鳴る。
アクセルを戻しても、心地の良いアイドリング音は一定のリズムでドロドロとなり続ける。
「よーし、デッパツだぁ!!」
クラッチを握り左足でシフトペダルを踏み込んだあと、軽くスロットルを捻りながらクラッチを繋ぐとバイクはありえないスピードで加速していく、……いや加速しすぎだろ。
「おーっ、……あれ? ちょちょ! うわぁーーー!」
卍卍卍
「……ふぅ、びっくりしたなぁ」
俺が魔法で出したバイクは思いのほか速く(本当に500キロ出た)、楽しくなっちゃった俺は本能のままに運転し続けてこの、……なんか火サスに出てきそうな崖っぷちにやって来た。
辺りを見回しても俺が来た一本道以外は大体深い谷になっていて多分落ちたら流石の俺でも死ぬ。
ったく、こんな崖っぷちとか危な……。
「いやぁぁー!」
急に聴こえた女の悲鳴の方を見ると遥か向こうの崖っぷちの先端、小さな人影が2つ。
「しゃーねーなぁ」
俺は崖っぷちに向かってチキンレースよろしくアクセルを捻り、人影の方へと向かう。
近づくにつれそこにいる奴らが鮮明に見えてくる。
なんか女は白い生地にピンクのフリフリのドレス? みてーなのを着たお嬢系地下アイドルみてーな女。そんでそれを鎧の男が追い込んでる感じ。
ホント、しゃーねぇなぁ。
ギアを落とし、エンジンブレーキで速度を60キロ程に落としつつ回転数は7000辺りをキープさせながらそいつらに向かって突っ込んでいく。
「え? い、いやぁぁー!」
「うおっ、ちょ! いやぁぁー!」
2人に当たろうかという寸前、鎧野郎がビビって横に飛んだのを見ると俺はフットブレーキで後輪を滑らせ車体の向きを変える。
「え? ちょ! え?」
当たる寸前のところで丁度バイクを逆向きにして、左腕でお嬢系を抱え込むとアクセルを力一杯捻る。
「い、いゃああーーーー!」
いやぁ、やっぱバイクは楽しいなぁ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます