第30話 本当は心優しい俺が、いきなり少年を脅てるのは本意じゃないってわかって欲しいと思いました。
ったくみんな聞いてくれよ?
ホントさ、女ってセコいよな?
何がセコいってさ? 大抵のことやったって可愛いんだよ。
それも『ただし美人に限る』みてーな限定的なやつじゃなくって、魂が可愛いっつーの?
なんかもう、人に許される能力が男とは桁違いなんだよなぁ。
こないだもあのウィン子の野郎、俺を散々コケにしといて最後によぉ。
【元気、出ましたか?(о´∀`о)】
だってよ?
俺ぁちっとだけキュンとしちまったってんだ?
そんでよ、そんなウィン子にキュンキュンと元気づけられた俺があれからどうなったかというとだな、もちろん落ち込むのは辞めてよ?
今は、……今の俺に出来ることを全力でやっている。
卍卍卍
「ちわーっす! レベル1モンスターでぇーす!」
ここは室内にある草原、管理された自然である“初心者ダンジョンの入り口付近。
扉を開けて恐る恐る入ってくる“金持ちのボンボン”を見るやいなや
ゴブリンくんに借りた棍棒を右手に持ってウンコ座りした状態のまま、いきなり声を張り上げて凄んでやる。
「おいテメー聞ーてんのかよ! レベル1モンスターだっつってんべ?」
「え? あ、……え?」
オロオロとテンパった少年に近づき肩に腕を回しながら、俺は勤めて優しく言う。
「おめでとう、お前はレベルが上がった、……レベルが5まで上がったんだ」
「へ? え?」
「いいか? 俺はレベル1だがすげー強ぇんだ。倒さなくてもよ? 目ぇ合わせただけで、言葉を交わしただけでレベルが上がんだよ、いいな?」
オドオドしたか弱きボーイにジッと至近距離で目を合わせながら言ってやる。
無理を通す時、迷いのない目つきをウザいくらい目ぇ合わせながらやると通りやすくなるから皆も覚えとけよ?
「え、あ、え、……でも」
しかし、ボーイは戸惑ったまま。
……しまった、これは相手がある程度イケイケな時に使うやつだ。すでにビビってるやつには逆効果だった。
……ならば。
「ふっ、なら証拠を見せてやろうじゃねぇか! おい、ウィン子!」
ピコン!
【おっけー(≧∀≦】
【タケシ・ムトー】
レベル:1
力:9999
体力:9999
素早さ:9999
知力:1
精神:9999
運:0
性欲:99999
AP:10000
スキル:速攻治癒・摩天楼・武具マスター・収納ボックス・魔法マスター・スケベ(・←が乳首に見えるらしい)・バカ(女の子にすぐ騙されそう)
「どうだ? 俺は強いだろ……いやちょっと待てバカ!」
ヒュン。
ウィン子をぶん殴ってやろうと拳を振るうも一瞬で消えてしまう。
【あー! また殴ったぁ( *`ω´) サイテーサイテー! DV男(๑╹ω╹๑ )】
いやいや、前言撤回だ。誰がバカでスケベだ! しかも乳首の件を見知らぬ少年にバラしやがって……。
「ぐぐっ、……まぁいい、今はいい。どうだ少年? 俺、強くね?」
「……あ、あああ」
俺のステータスを見た少年は、強敵が現れた時のク○○ンの如く目を見開いて虚構を見上げている。
「ふっ、俺は強すぎるからな」
そして俺は少年の背中をポンと叩くと、室内の端っこの方を指さす。
「ま、そーいうわけだから時間が来るまでそこで座ってろ?」
「……は、はい」
卍卍卍
ガルムの親分と喧嘩して凹んだ日、ウィン子に励ましてもらって元気を取り戻した俺は“初心者ダンジョン”に忍び込み、先程のような活動をずっと続けている。
魔物をぶっ殺しに来た哀れなボンボンを脅し、魔物を殺させずそのまま帰らせる。
そして念入りな脅しで親にはレベルが上がったと言い張らせ(ステータスを確認されるが、親の使うステータスウィンドウをウィン子にジャックさせれば上がったように見せるくらいは楽勝だ)ることによりこの一週間ここでの死者はゼロだ。
「……ふっ」
ピコン!
【……ふっ( *`ω´)】
ニヤリとした視線をウィン子と交わす。
そして今日は再開の日。
ピンポンパンポン!
『業務連絡、業務連絡。これより魔物入れ替え作業をおこないます。つきましては、誠に申し訳ございませんが、場内の冒険者の方は速やかに退出下さい。誠にご迷惑おかけしますが何卒ご了承よろしくお願いします。繰り返します……」
「さあさあ、オメーらさっさと帰ーりな? あとレベルの件、バラしやがったら地の果てまででと追っかけてやって地獄見せてやんからな?」
しっしと手を振り、少年達を入り口まで歩かせる。
「おい、ウィン子!」
ピコン!
【ガッテン( *`ω´)】
心強い言葉を残すと共に、ウィン子が消える。
さて、これからガル太郎のトコの奴らが来る。
これからが本番だ。
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