概要
あいつがあいつでなければもっとじゆうきままにすごせていたはずだった。
月流(つきながれ)、星流(ほしながれ)、雲流(くもながれ)、衣流(ころもながれ)、文流(ふみながれ)の五つの道(どう)で成り立っている、水桜(すいおう)国。
国の名前の由来ともなっている国中にあまねく存在している不思議な桜は、年中咲き誇り、散ることはない。白に近い紅色の花びらは水でできているが、掴めば雫となって消えるのではなく、姿かたちを保ったまま掴む事ができるので、この国の者はよく口にする。花びら一枚で十分。仄かな酸味と甘みが浸透して、身体を癒す。
この国で唯一無二と言っていい存在はこの桜の他にもある。ゆいしゃもその一つ。勇者ではなく、ゆいしゃ。念の為。職業名である。
ゆいしゃとは、生物に溜まった毒を抜き取り、その毒が薬となる生物へと届け、国中を旅し続けるもの。毒を抜き取る、とはい
国の名前の由来ともなっている国中にあまねく存在している不思議な桜は、年中咲き誇り、散ることはない。白に近い紅色の花びらは水でできているが、掴めば雫となって消えるのではなく、姿かたちを保ったまま掴む事ができるので、この国の者はよく口にする。花びら一枚で十分。仄かな酸味と甘みが浸透して、身体を癒す。
この国で唯一無二と言っていい存在はこの桜の他にもある。ゆいしゃもその一つ。勇者ではなく、ゆいしゃ。念の為。職業名である。
ゆいしゃとは、生物に溜まった毒を抜き取り、その毒が薬となる生物へと届け、国中を旅し続けるもの。毒を抜き取る、とはい
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