21 練
『水桜国』のどこか。
「おい、ばばあ。土産はどうした?」
「………おばあさま。今回はお土産はないのですね。残念ですが、おばあさまが元気に戻られて私は安心しました。と。言い直しても構わないですよ」
「はいはい。人としての礼儀なんちゃらかんちゃらですよねー。けど、俺。もう人間じゃねえし」
「私が人だと言ったらあなたが雑草だろうが人なのですよ、ななし」
「けっ。ほんと、厄介なばばあに拾われちまったよ」
「私の土地に倒れ込んだあなたが悪いのですよ」
「あーあ。ほんと最悪」
「最悪なあなたに一つ、いいことを教えてあげますよ」
「いいこと?」
「玖麦」
「は?」
「辛い時にはこの名前を口にしなさい。緩和しますよ」
「はあ?意味わかんねえ」
「あなたはお莫迦さんで忘れっぽいですからね。これから毎日一回は唱えなさい」
「あ。おい。ばばあ。ったく。意味不明さに拍車がかかってんな。誰だよ、玖麦って。もしかして、ばばあの血筋のもんか。うげえ。誰が言うかっての」
(2021.8.5)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます