英雄の力は、多くの場合、世界のために振るわれます。
しかし、この物語の主人公ビトーが振るう剣は、ただ一人、過酷な呪いを背負った少女リコを救うという、純粋で真っ直ぐな誓いのためだけに捧げられています。その一点の曇りもない想いが物語の核となっていて、強く心を惹きつけられました。
また、圧倒的な力で強大な竜や魔人を打ち倒していく戦闘シーン、ビトーの振るう剣の一閃一閃の迫力も大きな魅力です。
ですが、この物語の真のすごさは、その重厚な世界観とスケール感にあると感じています。
初めは二人だけの切実な旅だった物語は、読み進めるうちに巨大な存在の影が見え始め、否応なく世界の大きな運命と交差していきます。
ただ一人を救いたいという純粋な願いが、やがて世界を揺るがすほどの大きな渦の中心になっていく。
王道の熱さと、重厚なストーリーが好きな方には、間違いなく心に響く作品だと思います。
「人に触れたら、竜を喚んでしまう」
そんな呪いを背負った少女・リコと、彼女を守るために剣を取った幼馴染・ビトーの旅路に、すっかり心を奪われました。
どちらも相手を想う気持ちが真っすぐで、それなのに触れ合うことができない……そのもどかしさに何度も胸がぎゅっとなります。リコの優しさと、ビトーの純粋な強さ。二人の距離感が絶妙で、読んでいるこっちが勝手に照れたり、泣きそうになったり。
戦闘シーンも緊張感があってすごく良いです。竜や魔人たちとのバトルにしっかり見応えがあって、それぞれの陣営にちゃんと物語があるのがまたいい。敵にも敵なりの信念や背景が描かれていて、単純な善悪では語れないのが魅力だと思います。
登場人物も勢力図もどんどん広がっていきそうな予感。これは長く付き合っていきたい作品です。続きを読むのが楽しみで仕方ないです。
人に触れられると竜を召喚してしまう呪いをかけられた『竜の喚巫女』リコと、彼女を救うために『竜斬り』となったビトーが、呪いを解くために旅をする物語。
竜の喚巫女として疎まれてきたため控えめな性格のリコと、圧倒的な強さを誇るのに純朴で素直なビトー。お互いを何よりも大切に思う二人に「もう付き合っちゃえよ!」と言いたくなるのですが、呪いのせいで触れられないじれったさ……。この二人には幸せになってほしいと願わずにはいられません。
そして二人の旅には、竜の喚巫女を利用する魔人たちが立ちはだかります。竜や魔人との戦闘は迫力があり、それでいてわかりやすい描写でイメージがしやすく引き込まれました。
また、ビトーたちにとっては敵である魔人たちもキャラが立っていて嫌いになれない(笑)。他に登場する勢力も非常に丁寧に描写されています。複数の勢力が複雑に絡み合い、敵なのか味方なのか……先の展開が非常に気になります。
第一章まで読了してのレビューですが、この先もじっくり読み進めたい作品です。
ヒロインのリコは、人に触れると竜を召喚してしまう『竜の喚巫女(りゅうのよびみこ)』である。召喚された竜は、リコに触れた人間を食い殺してしまう。
そのような恐ろしい呪いに掛けられてしまったが、リコ自身は人のために薬草を作り、癒しの魔法を傷ついた人々にかける心優しい少女である。
しかし、竜という貴重な素材や美味な肉を持つ存在を呼び出せる、ということでリコを利用して金儲けをしようとする輩もいる。
そんなリコの呪を解こうと、幼馴染であるビトーは『竜斬り』となり、彼女の呪を解くため、リコと共に旅立つ。
感想:お互いを大事に思うのに触れられない、という悲しくも忌々しい呪いは解くことができるのか、幼馴染である2人の想いが切なくて、この先どうなってしまうのか、思わずどんどん読み進めてしまいます。
オススメです🐉🌟🌟🌟