第32話:掲示板+観察

【錬成】 錬金術師スレ その3 【不遇】


23名前:通りすがりのアルケミスト

 錬金術師諸君に朗報だ

 錬成陣用紙一枚で複数を同時錬成できるぞ


24名前:通りすがりのアルケミスト

 複数?

 意味が分からん


25名前:通りすがりのアルケミスト

 あー実際錬成して見せられれば分かりやすいんだが

 例えば今だとポーション錬成するのに

 薬草×2 水入れた瓶×1で錬成してるだろ?

 ここを薬草×40 水入れた瓶×20を紙の上に置いて錬成すると

 ポーション20本が完成する


26名前:通りすがりのアルケミスト

 は?

 マジで言ってんの?

 それマジだと……錬成陣代が1円以下になるじゃん

 え……マジで?


27名前:通りすがりのアルケミスト

 ちょっと試してくる!


28名前:通りすがりのアルケミスト

 んな情報ギルドには出てないぞ


29名前:通りすがりのアルケミスト23

 ギルド職員はスキルとレシピ以外買取らない仕様らしい

 定型文しか帰って来なかったって

 ちなみにこの情報はガーネットの魔法少女からのものだ


30名前:通りすがりのアルケミスト

 ガーネット


31名前:通りすがりのアルケミスト

 ガーネットの魔女娘か

 マジ可愛いのか?


32名前:通りすがりのアルケミスト23

 不遇と言われていることを嘆いて情報を共有したいと教えてくれたんだ

 錬金術師仲間にこのことを教えてやってくれ


33名前:通りすがりのアルケミスト23

 >>31

 魔法少女と書いたが今は不思議の国のアリスたんだ

 アリス衣装がマジ似合う

 意味は分かるよな?


34名前:通りすがりのアルケミスト

 俺ガーネットでキャラ作り直すうううううう


35名前:通りすがりのアルケミスト

 情報の共有なんかしないで誰にも教えなければ

 ひとりでポーションボロ儲けできたんじゃないのか?

 なんで情報を他人に教えるん?

 バカなのその子


36名前:通りすがりのアルケミスト23

 初心者っぽいから情報の重要性が分かってないのかもしれん

 けどその子はアルケミストが不遇って言われてるのを残念がってたし

 その子の意思を尊重してここに書き込んだ

 バカなんじゃなくっていい子なんだよ


37名前:通りすがりのアルケミスト

 うおおおおおおおおおおおお

 マジで紙一枚で大量錬成できたぞ!!


38名前:通りすがりのアルケミスト

 え

 じゃあ砂と石灰で大量錬成すれば一本10円以下で瓶を錬成できるんじゃ


39名前:通りすがりのアルケミスト

 貝→石灰も錬成陣使うが10本分以上の材料乗せられれば

 NPCから瓶買うよりコスト押えられるじゃん


40名前:通りすがりのアルケミスト

 神情報キタコレ







 町から一番近い橋に登場したボスモンスターは……。


「半魚人……」

「半魚人だね」

『あぎゃ』


 3メートルぐらいの、ちょっとコミカルな半魚人。

 それが橋の上にデーンっと立ってて、五人組のプレイヤーさんと戦っていた。

 でも戦っていたのはそれだけじゃなくって、時々川からわーって小さい半魚人が出てきて襲ってくるの。


「何匹いるでござろうか?」

「んー……十匹かなぁ」

「半魚人がエラを震わせて叫んだあとに出てくるでござるな」

「え、そうなの?」


 気づかなかった。

 そしたら次にエラをぷるぷるさせて叫んだあと、川からわーって小さい半魚人が出てきた。

 ほんとだ。決まったタイミングで出てくるんだね。

 

 小さい半魚人が出てくると、大きいのと正面から戦ってる人以外が小さいのを急いで倒してるみたい。

 あ、エラぷるぷるさせたよ!

 早く、早く!

 

 大きいのの正面にいたひとが、盾でガーンって殴って。

 あ、なんか半魚人の頭の上にヒヨコが飛んでる。ふふ、可愛い。


「あれ? 小さい半魚人出てこないね」

「うむ。そうでござるな。エラが震えるところまでいったでござるが、叫ばなかったし。フェイントでござろうか?」


 フェイントとかもあるの?

 ボス倒すのって難しいなぁ。テレビゲームのとは違うんだねぇ。

 

 あ、ひとり倒れちゃった!?

 うわぁん、このタイミングでミニ半魚人呼ばれちゃったよぉ。

 今後は八匹。あれ? さっきまでずっと十匹だったのに。


「あぁ、ヒーラーが倒れたでござるなぁ」

「今の人?」

「回復魔法を使っていたでござるから、神官でござるな。でもMPが切れてヒールが出来なくなっていたのでござろう」

「回復できなくなったら、あれは辛いよねぇ」


 小さいのが自分たちの倍の数出てきて、わっちゃわちゃになってるし。


 自分たちの倍……そっか。小さい半魚人はパーティー人数の倍出てくるのかも。


「うぅむ。しかし……」

「どうしたの、紅葉ちゃん」


 難しそうな顔の紅葉ちゃんは、ひとり、またひとりと倒れるプレイヤーさんを見て唸る。

 あ、最後のひとりが倒れちゃった。そしたら半魚人もすぅーって消えた。


「某らには、ヒーラーがいないでござるな」


 うん。いろいろと厳しい状況ですねぇ。

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