第10話:ログアウト&ログイン+掲示板
ログアウトしたあと、慌ててお風呂掃除!
時計を見たら夕方の5:30。
あれ、紅葉ちゃんと分かれたのが5時過ぎだったのに、あんまり時間が過ぎて──あ、そうか。
ゲームは現実の3倍の速度で時間が進んでるんだっけ。
ゲーム内での30分は、現実だと10分しか進んでないことになる。
お掃除終わっちゃったし、お母さんの夕飯の支度手伝おうっと。
そしたら早くご飯が食べられて、早く遊べるもんね!
「お母さーん。料理作るのお手伝いするよぉ」
「あらぁ。ありがとう。でも茜、お小遣いのアップはしませんからね」
「ほえっ。な、なんでお小遣いの話になっちゃうのー?」
「そりゃああんた。VRゲーム始めたんでしょ? 課金アイテム欲しいからって、お小遣いが欲しいんじゃないの?」
……その手もあったぁーっ。
「ふふ。タダで手伝ってくれるのね。助かるわぁー」
「ううぅ。き、今日だけだもんっ」
明日はお小遣いをおねだりするんだからーっ。
「ははは。茜、残念だったなぁ」
そう言ってお父さんが笑う。
今日は土曜日で、お父さんもお仕事がお休みの日。
映画好きなお父さんは、朝から何本目かの映画を見ていた。
なんの映画だろうと思って、じゃがいもの皮むきをしながらついつい見ちゃう。
BGMがなんとなく怖そうな雰囲気になった……と思ったら、TVに映ってる人が食べられちゃった!?
「ほええぇぇっ!?」
「わぁぁあぁっ。どどどどどど、どうした茜!?」
「食べられちゃったぁっ」
ジャングルのように見える画面の中で、次々に人が恐竜に襲われていた。
お父さん、恐竜映画みてたのかあぁ。
「これね、古い映画なんだよ。あ、ほら。これはヴェロキラプトル。この映画の主人公を助けてくれる、賢い恐竜だよ」
「え、恐竜が人間を助けてくれるの?」
「そうだよ。卵から孵ったときから主人公に育てられているんだよ」
卵から……あ、恐竜さんって、確か鳥のご先祖だったっけ?
そういうのすりこみって言うんだよね。
へぇ、恐竜さんもすりこみできるのかぁ。ちょっと可愛い。
料理のお手伝いをしながら映画を見て、お父さんがトイレに行くために一時停止をしたらダッシュでお風呂掃除をして、お湯張りを待つ間に映画を見て。
いいなぁ。ラプトルさんと仲良くできる主人公さん。
親友のような……ううん、まるで兄弟みたい。
わたし、一人っ子だったから、あんな弟が欲しかっ……なに言ってるんだろう。恐竜みたいな弟って……。
【WSFO】雑談スレ41【ガーネット】
32名前:通りすがりの冒険者
魔法少女みた
ござる猫たんと一緒だった
33名前:通りすがりの冒険者
ファイアを初期に取らなかった俺涙目
なんだとくそう
最初の町の周辺は火属性が弱点のモンスターばっかりじゃねーか!
34名前:通りすがりの冒険者
>>32
kwsk
35名前:通りすがりの冒険者
クローズド組はどのあたりまでいってんだ?
俺正式始まってすぐからやってるけどエリア2からまだ出れそうにない
36名前:通りすがりの冒険者
魔法少女いいねー
リボンでスライムしばいてる姿とか最高だった
俺もしばかれたい
37名前:通りすがりの冒険者
むしろ踏まれたい
38名前:通りすがりの冒険者
>>34
黒猫の獣人の女の子と一緒だったんだが
その子の口癖が「ござる」だったんだよ
服装からしてシーフっぽいから上位職忍者狙いだろうな
忍者確定でいいのか?
もし未確定で出て来なかったらあの黒猫ちゃん泣くぞ
39名前:通りすがりの冒険者
リボンが鞭を錬成したものだとして
なんでリボンになるんだよ
40名前:通りすがりの冒険者
魔法少女とくノ一・・・
俺はもうダメだ
おまえらあとは頼むぞ
41名前:通りすがりの冒険者
初期の鞭は革を編み込んだようなやつだろ
それ解いて繋いで伸ばしたのをイメージすれば出来るんじゃね?
DEX高くないとシステム補正低くて無理だが
42名前:通りすがりの冒険者
>>40
死んじゃあらめー
時間は──7:48!
お風呂もご飯も終わって、エアロバイクも少し漕いだからダイエットもきっとばっちり!
さぁ、ログインするぞぉーっ。
バイザー型ヘッドギアを被って──ベッドにごろ~ん。
電源ボタンを押して、ワールドの選択っと。
このワールドって
一番上の、ワールド名『ガーネット』。三番目の『アクアマリン』も可愛い名前だったんだけど、ガーネットのほうが可愛くて強そうだから。
『こんばんは、チョコ・ミントさん』
「こんばんはー、ナビゲーターさん」
『紅葉さまからメッセージが届いております』
「紅葉ちゃんから!」
『ここでご覧になることもできますが、いかがなさいますか?』
「よ、読みますっ」
返事をすると、手元に一通のお手紙が浮かんだ。
便箋には紅と黄色の紅葉の絵が。
ふふ、可愛い。
「メッセージって、お手紙で届くんですか?」
『ゲーム内ですと、視界に便箋マークが浮かびます。そちらをタップしていただくと、ディスプレイに通信機画面が表示されますので──』
あとはメール操作と同じ要領で見たり、返信したりできるんだって。
便利だなぁ。
『ここでは古風に、手紙という形式をとっております。通信機のほうがよろしければ、仕様の変更も可能ですが?』
「あ、このままでいいです。お手紙もいいですよね。──紅葉ちゃん、ログインは9時になっちゃうのか」
残念だけど、でも嬉しい。
紅葉ちゃん、また遊んでくれるってことだもんね。
「このお手紙って、どうすればいいですか?」
『破棄なさいますか?』
「う……せっかくのお手紙だし、取っておきたいです……できますか?」
『ではロビーにてお預かりいたしますね』
よかったぁ。
「ありがとうございますっ。じゃあわたし、行ってきますねっ」
『はい。行ってらっしゃいませ。チョコ・ミントさまの行く先に、楽しい冒険がありますよう、祈っております』
さっきと同じように、全ての光源が失われて真っ暗になり──
わたしは錬金術師ギルドの建物内にいた。
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