第37話:家庭科
ラプトルさんが無事戻って来てからの週末。
「ラプトルさんはインファイトで兎さんをお願いっ。クミさんは硬いロックスライムに冷凍ビーム!」
ティーさんに教えられて、新しくホムさんを二匹錬成したの。
ホムは同時に二体までしか出せないので、交代で休ませるためにこの数に。
全員が仲良くなれるように、こうしていろんな組み合わせて冒険をしている。
「主殿はまるでポケモ……いや、みなまで言うまう……まい」
「えぇーっ。途中で止められると、何を言おうとしてたのか余計に気になっちゃうよぉー」
『カァーッ』
「あ、クミさんご苦労さま。やっぱり魔法タイプは強いなぁ」
クミさんは烏のホムンクルス。
橋の半魚人からドロップした、水の魔法石というアイテムを素材にして魔法タイプの子にしました。
名前の方は、烏だからクロにしようと思ったんだけど……実はクミさんは雌でした。
だからクミさんに。
「よし。じゃあラプトルさんは休憩ね」
『あぎゃっ。んぎゃーぁ』
「ダーメ。休憩するのっ」
まだ遊びたいと駄々をこねるラプトルさん。少しきつく言わなきゃ戻ってくれない。
スキルを使って無理やり戻すより、自発的に戻ってくれる方がいいんだもん。
ちょっぴりしょんぼりしてラプトルさんがエンブリオに戻った。
次の出すのはワンワン王くん。
わんちゃんさん──じゃなくってアキーラさんがモデルの子。
狼みたいにかっこいいのをイメージしようとしたんだけど……結局可愛い子犬タイプになっちゃった。
『わおーんっ』
「よぉし。ワンワン王くん、クミさん。いっくよぉ~!」
『カァー』
『わんわっ──』
「かわゆいでござるぅ~」
気合を入れた号令も、犬好きの紅葉ちゃんが台無しに……。
紅葉ちゃんにとって、ワンワン王くんはツボだったらしい。
すぐにぎゅ~ってして、ワンワン王くんを困らせてしまう。
「もう、紅葉ちゃぁん」
「はっ!? 某としたことが……い、行くでござる」
ほんっと、可愛いモノ好きなんだからぁ。
「武器マスタリーも随分上がって来たし、そろそろ新しい武器が欲しいなぁ」
「そうでござるな。素材も結構溜まってきているでござるから、ロックん殿の所に行ってみるでござるか」
「うんうん。行こう!」
町に戻ってロックんさんの個人工房へ。
「ロックんさ~ん」
「お、チョコ・ミントちゃんに紅葉ちゃん。製造依頼かい?」
「話が早くて助かるでござるよ」
「火曜日に来たっきりだったからねぇ。そろそろ装備を新調したくなるころだろうと思って」
ロックんさんすごーい!
あ、お仕事してたんだ。
作業台の上に、お洋服の型紙が置いてあった。
へぇ、ゲームの中でも型紙って使うんだぁ。
中学校の裁縫の授業でもこういうの使ってる。なんだか不思議な感じぃ。学校でやってるのとゲームでやるのと、同じなんだ~って。
「あ、型紙気になった? 使うんだよこれがー。といっても実際にリアルで裁縫するみたいな使い方じゃないけどね」
「え、どう使うんですか?」
「見てみる? ちなみに鎧作るときも型紙があるんだよ」
え、鉄板を切るのに使ったりするの?
「材料になる布を広げます」
「反物みたい~」
「というか反物でござるな」
「型紙を乗せま~す」
そして取り出した鋏を型紙に合わせて入れると──そこで布が切れちゃった!
ふ、普通はまち針で止めて、チャコペンで線引いてってするのにぃ。
「一応前身ごろ後ろ身ごろ、襟袖とあるんだよ」
「それぞれを組み合わせて、ある程度自由に作れるんですね」
「そう、とも言えるけど、そうでもないのかな」
「どういう意味でござるか?」
「うん。実は後ろ身ごろは1種類しかなく、前身ごろも2種類しかないんだ」
襟は丸襟と三角襟の2種類。袖は半そで、長袖でそれぞれ2種類ずつ。
これだけしかないから、組み合わせパターンも少ないし、あまり変わりばえもしないんだって。
なるほどぉ。確かにデザイン変更をしたくなるわけね。
「しかもこれ。スキルレベルが上がっても型紙の種類は増えないんだ。まぁ公式ショップでおしゃれっぽいのが販売されてるけどね」
「なんでも金でござるな~」
「まぁ仕方ないよ。で、今回はどんなのを作る?」
型紙の種類がいっぱいあったらいいのにね。
そうだ。型紙も錬成できないのかなぁ?
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