第33話:ヒーラー錬成
「主殿。そういえばヒーラーのホムンクルスはどうするでござるか?」
という紅葉ちゃんの言葉ではっとなった。
もともとラプトルさん以外に、ヒーラータイプのホムさんも錬成するつもりだったんだよね。
失敗しちゃったけど。
そこで──
「ヒーラーの外見でござるか」
「うん。昨日はね、外見をハッキリ想像できなくって、それで失敗したと思うの」
錬成はステータスの数値だけじゃなく、想像力が大事だと思うの。
もやもやっとしたイメージだと失敗しやすそうな印象。ステータスはちゃんとイメージ出来たものを、より詳細に表現できるかどうかなんじゃないかな。
わたしの勝手な解釈だけど。
「だからね、ヒーラーのイメージってどういうものなのかなぁって」
「なるほど、イメージが大事なのでござるな。しかしヒーラーのイメージでござるかぁ」
「うーん」
「うーん」
『んぎゃー』
わたしと紅葉ちゃん、それとラプトルさんが唸って考え込む。
ヒーラーって言ったらやっぱり神官だけど、それは職業であって外見のイメージじゃないんだよね。
ヒーラーって……どんな外見なんだろう。
「ヒーラーといえば癒しでござるな」
「癒し……見て癒されそうな外見……」
「そうそう。見て癒される外見だといいよねぇ──ござるねぇ」
『あぎゃ?』
急に紅葉ちゃんの口調が変わったから、ラプトルさんが首を傾げて彼女の顔を見てるけど……。紅葉ちゃん、顔を真っ赤にしてそっぽ向いちゃった。
「と、とにかく癒しでござる! 主殿にとって癒される外見とは、どんなものでござるか?」
「癒される外見……」
ラプトルさんはカッコいいし可愛いけど、癒し……じゃないのかなぁ。
『あ、あんぎゃっ』
「な、なんでもないよラプトルさん。なんでもね」
ラ、ラプトルさんに悟られたのかな、なんだか急に慌ててすり寄って来る。
うん、こういうところは可愛い。
可愛い……可愛いは癒しだよね。
「紅葉ちゃんは、可愛いって言ったらなんだと思う?」
「可愛いでござるか? んー、猫とか?」
「紅葉ちゃんって猫派なんだぁ」
「主殿は犬派でござるか?」
んー……猫も好きだし、犬も好きだし、動物はだいたい好き。
そっか。動物のイメージにすればいいのか。
肉球のある猫さんもいいなぁ。ぷにぷにしたら癒されそう。
もふもふの毛も欲しいなぁ。
「ハムスターやモルモットも可愛いでござるな。あの短い足でちょこちょこされると、たまらないでござる」
そう言って紅葉ちゃんがうっとりする。
モルモット……、
「小学校でモルモット飼ってたの。飼育委員してたから、モルモットのイメージならバッチリ!」
「おぉ! いいでござるなっ。なら、素材を探しに行くでござるっ」
「うん! モルモットなら物量30の小型で錬成できるし、ラビの柔毛とあとは骨、肉かな」
という訳で、町の西側に来ました!
必要な素材はぜーんぶ草原ラビから取れる。
ふふ、兎さんからモルモットを錬成かぁ。
「あ、そうだ。ヒーラーといえば回復魔法だよね。どうせなら薬草も素材にしてみようっと」
「薬草でござるか? じゃあ頭からヒールビームでも出るのでござろうか」
あ、頭からヒールビーム!!
いいね!
「エンブリオ一つで1000ENになります」
素材を集めさっそく錬金術師ギルドでエンブリオを購入♪
イメージOK!
素材OK!
錬成陣用紙OK!
「ではまいりますっ。レッツ『錬成』!」
白と薄茶色のツートンカラーなモルモットさん。その頭に双葉を生やしたイメージで錬成。
パァっと輝く錬成陣の光が小さくなると、今度はイメージ通りのモルモットさんが登場!!
でも思ったより大きい。50センチぐらいありそう。
『むっきゅ』
「ほえぇっ、可愛いよぉ。モルさん可愛いよぉ」
頭の双葉もバッチリ。ぴこぴこ揺れておもしろーい。
「癒しでござるなぁ」
「うん。紅葉ちゃんのおかげだよぉ」
『うぎゃぁぁ』
「ラプトル殿が嫉妬しているでござるなぁ」
「あはは」
ラプトルさんをぎゅっとして、モルさんをなでなでして。
あ、モルさんのステータスを確認しなきゃ。
*****************************
名前:モルさん
タイプ:ヒーラー&バッファー
HP:3500 MP:3000
STR:15 VIT:50 DEX:15
AGI:15 INT:100
【習得済みスキル】
『ヒール:1』
【セット中スキル】
【装備】
*****************************
あぁ……名前が決定されてる。また「さん」付きだぁ。
それにしても、モルさんのHPとMPが凄いんですけど~。
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