第40話:お誘い
遂に始まった春休み!
入学式まで遊び倒すぞぉーっ!
「でも紅葉ちゃんが入試試験の追い込みでログインできなくなっちゃったし……ひとりで何しようかなぁ」
『んぎゃ』
『んかぁーっ』
「あ、そうだね。ひとりじゃないもんね」
町を歩きながら今日の予定を考える。
最近はラプトルさんを出して歩いてても、驚く人は少なった気がする。
私以外の錬金術師さんも、ホムンクルスと一緒に歩いている人も増えたからかなぁ。
でもさすがに大型ホムンクルスは、私でもビックリしちゃう。ほんとに大きいんだもん。
「あのー、そこの錬金術師さーん」
「ほえ?」
私かな?
呼ばれた方に振り向いたら、ホムンクルスを連れた錬金術師さんがいた。
うん。私じゃなかったみたい。
やー、恥ずかしいっ。
逃げるようにして駆けると、
「ま、待ってっ。恐竜ホム連れた錬金術師さんっ」
「ほえ?」
やっぱり私?
「ごめんなさい。こっちも錬金術師だから紛らわしかったですよね」
「今、錬金術師に声掛けて回ってるんです」
女の錬金術師さんが二人、私の方へやって来た。
錬金術師に声をって、何かあったのかなぁ?
「実はね、錬金術師祭りをやろうと思って」
「れ、錬金術師祭り!?」
え、何だろう。錬金術師が集まって、みんなで錬成して遊ぶのかなぁ?
「錬金術師とホムンクルスだけで、ダンジョンに特攻するんですっ」
「ゴミのような戦闘力しかない私たち錬金術師と、強すぎてパーティーから嫌われるホムとでダンジョンを蹂躙祭りをしませんか!」
ダ、ダンジョン蹂躙祭り……。
そこだけ聞くと凄く恐ろしい計画のように聞こえるよぉ。
でも……錬金術師さんだけ集まってのダンジョン特攻。
楽しそう~。
「あの、それっていつやるんですか?」
「あ、興味持ってくれた? 夜9時に町の北門前集合なの」
「まだ次のエリアに渡れない人もいるので、橋番倒すところからなんです」
「9時ですね! じゃあポーションとかいっぱい用意していこうっと」
今日も紅葉ちゃんはログインできないって言うし、参加しちゃおう!
「それじゃあ9時に~」
「はぁ~い」
夜までに準備をしなきゃね。まずは薬草集め!
「ラプトルさん、クミさん、草原にゴォ~♪」
『あぎゃ~』
『カァ』
ちょっと遠出して、中品質の薬草採取っと。
ひとりじゃ絶対こんな所まで来れない。ホムさんがいてくれるから来れる場所。
ラプトルさんとクミさんが、採取に専念する私を守ってくれた。
「よし。これだけあったら500本ぐらい作れるかなぁ。次は瓶の材料集めね」
三人で川に行って、貝モンスターをいーっぱい倒して、砂をいーっぱり集めて。
それか町に戻ってギルドで錬成♪
「ラプトルさんもクミさんも、HP減っちゃってるから休憩し──ほえっ」
錬成し終わったポーションをアイテムボックスに直そうとしたら、作業台につまずいて……
「ほえぇぇーっ!? ポーションがぁ」
飛んじゃった!
やだ、やだ、一本でも勿体ないっ。
ポーンって飛んだポーション瓶は、私たちが見つめる中──カシャーンと音を立ててラプトルさんの頭に命中した。
【スキル『ポーションピッチャー』を習得しました】
ほえ?
『あぎゃぁ』
『ッカーッ。カァ、カカァ』
「え、何? どうしたの二人とも」
ラプトルさんは私にペコリと頭を下げ、クミさんは何かを要求しているような?
それよりも今のシステムメッセージ、なにぃー!?
スキルスキル……あった、これだ。
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【ポーションピッチャー】
ポーション投げることで、その効果を相手に与える。
誤ってモンスターに当たっても、その効果は発揮されないので安心。
テイミングされたモンスターにも効果はない。
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ポ、ポーションの効果を、与えられるうぅー!?
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