第26話:レシピで大金ゲットゲット♪
さすが葉っぱ!
錬成一回で百枚同時に乾燥出来ちゃった。
それを三回繰り返す。
「ほえ、これ草の種類が違うんですね」
「ん。それは低品質なソーマ草よ。MP回復用ポーションの材料になる奴。そうだ。お礼だけど、このポーションでどう?」
「ポーション、ですか?」
「あなた鑑定は?」
「あります……あ、鑑定すれば材料が分かるんだっ」
にっこり笑った女の人は、ソーマ草が生えているポイントを教えてくれた。
「町の西と東、あと南は低品質のライフ草しか採れないんだけど、北側ならソーマ草も生えてるわ。採取は持ってるの?」
「あ、はい。持ってます」
「そう。じゃあ採取スキルのレベルが5を超えたら、採れる薬草のランクもあがるらしいわよ。私もまだレベル3だから、本当かどうかは分からないけどね」
「いろいろ教えてくれてありがとうございます」
「ううん。こっちも助かったわ。薬草の乾燥って、五十枚ワンセットで五分必要なのよ。30分の時間節約できたし。ありがとう」
女の人はそう言いながら、もう次の作業に取り掛かってる。
時間の短縮かぁ。わたしもちょーっと気になることがあるんだよね。
来た道を引き返して錬金術師ギルドへと戻る。
「ケミーさぁん。お水ってありますかー?」
と中に入ると、なんと他のお客さん──プレイヤーさんがいたー!?
お、お話の邪魔しないように黙って待っていると、プレイヤーの人が「あっちに錬成用の作業台があって、蛇口もあったよ」と教えてくれた。
「ありがとうございます」
えへへ。他の錬金術師さん見たの、初めてだ。
ギルドに来るといつも、ケミーさんか二階のアルさんの所にしか行ってなかったけれど、一階は右奥は錬成用の作業スペースになってたみたい。
建物は奥行きのある作りで、手前にカウンターがあって、その横は二階に上がる階段。作業スペースは階段の後ろに続いているから、見落としていた。
あ……すっごい古い作りの蛇口があった。
ハンドルをきこきこ上下に動かして、少しの間だけ水が出てくるっていう奴でしょ?
試しにきこきこ動かすと、案の定お水が出てきて、動かすのを止めるとすぐに止まってしまった。
わたしが気になっているのは、ポーション瓶にお水を入れる方法。
生産工房にあった蛇口は、十字のノブをくるりと回すタイプだった。蛇口からでるお水を直接瓶に注ぐんだけど、一本ずつやってたら時間かかっちゃうよ。
しかもここの蛇口はこれだし、勢いよく水が出てくるから瓶に注ぐのも大変そう。ハンドル動かすのやめると止まっちゃうし。
「一度にばばーんっと入れられたりしないかなぁ」
『くおぉん』
「バケツでもあれば、それにお水を注いで、瓶を両手で持ってざぶんってすれば一度に十本ぐらいは作業が出来るんだけど」
ここにはバケツがない。
ないなら──錬成しちゃう?
「しちゃうしかないでしょー!」
へっへっへ。切り株モンスターから出た、その名もズバリ『切り株』があるんだよね。
これそのままくり抜いたものをイメージすれば、簡単に桶が作れちゃう!
という訳で錬成して、予想通り良い感じの桶が完成。
瓶を両手で持てるだけ持って浸すようにすると、一度に十五本にお水を入れることが出来た!
よぉし、手持ちの瓶全部にお水をいれちゃえー。
次は薬草の乾燥ね。
桶に新しい水を入れて、一度『低品質のライフ草』をじゃばじゃばと洗う。
一枚ずつ洗うのは面倒だし、百枚まとめて洗って錬成陣用紙の上へ。
「乾燥乾燥っと。んー、乾燥よりも粉のようがお水に溶けやすいんじゃないかなぁ。うん、試してみよう」
別の錬成陣用紙を広げ、洗った薬草を二枚だけこっちに乗せ換える。
貝の時のように、イメージの中で薬草を変化させていく。
乾燥させて、それからすり潰して粉に──
「レッツ『錬成』!」
錬成陣の光の中、濡れていた薬草が一瞬で乾いて粉になった。
薄緑色の粉。
これを水の入ったポーション瓶一本と一緒に、新しい錬成陣の上に置き直す。
「面白いねぇ。錬成陣の紙が消えて、作業台の上にサラサラな粉が乗ってるのに、摘まむとその半分が綺麗にわたしの手に入ってるんだよぉ」
『んぎゃぁ?』
「へへ。ラプトルさんにはよく分からないか。よし、粉末でお試しポーション、いくよ!」
錬成陣が光り、粉と瓶とが融合していく。
出来上がったのは、さっき生産工房で作ったのより色が少し濃いポーション。
ぽーんっと音が鳴ってメッセージが浮かぶ。
【中品質の下級ライフポーションのレシピをゲットしました】
ほえ!?
ま、また新しいレシピ?
どういうことなんだろう。さっきのと違うってこと?
アイテム鑑定をすると、さっき作った低品質の下級ポーションはHPの回復量が30。中品質のほうは35。
え、じゃあ粉にした方が、回復量が多いってこと!?
「中品質の下級ライフポーションのレシピ。確かに頂きました。今後、他の方にこの内容はお話しないでくださいね」
「はぁ……」
ケミーさんにレシピことを尋ねると、逆に「情報を買い取らせてください!」ってことになっちゃって。
しかもレシピを8万ENで買ってくれるっていうの。もう売るっきゃないでしょ。
代わりにギルドでは、買い取った物を錬金術師限定で安価販売がされる。だから誰にも言わないでってこと。
「お、お話しちゃったらどうなるんですか?」
「それは当然、ギルドとして損失を被るわけですから、チョコ・ミントさんにはペナルティーが科せられます」
「ペ、ペナルティー」
「まず、錬金術師ギルドの利用が十日間できなくなります」
「ほええぇぇっ」
そんなの困るよぉ。
更には、利用が出来るようになっても、一カ月間はギルドの販売物の価格が二割増しになるんだって。
それはヤダぁ。
8万ENも貰うんだし、誰にも言わないで秘密にしておこう。
それにしても、まさかレシピってこんなに高く売れるなんて……。
そ、そうだ。
「ラプトルさん、町の北に行こう!」
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