第27話:セットセット

「『中品質の下級ソーマポーション』のレシピ、8万ENで買い取らせていただきます。今後、他の方にこの内容はお話しないでくださいね」

「は、はい!」


 町の北側に出て『発見』を使って、『低品質のソーマ草』を二枚見つけたらすぐに乾燥→錬成でポーションを作成。

 思った通り中品質になった。

 レシピもゲットしたのでケミーさんにすぐ報告すると、さっきと同じように買い取ってくれた。

 これで所持金16万ENを超えちゃった……。


 これだけお金があれば……あれば……。


 な、なにが買えるかな……。

 あ!


「ケミーさん。『研究』スキルをください!」

「毎度ありがとうございます」


 それからアーチャーギルドを頑張って探して──DEXを上げるためのスキル『集中力』も買っちゃった。

 まだまだ所持金は14万EN以上!


 スキルが一度に増えたし、整理しなきゃ。



************************************


名前:チョコ・ミント

種族:ハーフリング

職業:錬金術師


STR:1   VIT:1   DEX:97+5+2

AGI:1+2  INT:2


【習得済みスキル】

『鞭術マスタリー:2』『錬成:3』『アイテム鑑定:1』

『採取:2』『発見:2』『コールホムンクルス』

『魔力向上:1』『走り込み:1』『研究:1』

『集中力:1』


【セット中スキル】

『鞭術マスタリー:2』『錬成:3』『アイテム鑑定:1』

『採取:2』『発見:2』『コールホムンクルス』

『魔力向上:1』『走り込み:1』『研究:1』

『集中力:1』


【装備】

・ワイヤーレザーウィップ[1]:『巻きつけ』

・初心者の服

・初心者のパンツ

・柔らかい革手袋[1](DEX+2)

・柔らかいショートブーツ[1](AGI+2)



**************************************



 ステータスを上げるスキルをセットすると、その時点で+1されてるみたい。

 でもこれでセットスキル10だなぁ。次に新しいスキルを取れたら、どれかを外さなきゃいけなくなるなぁ。

 どうやったらセットできるスキルの数を増やせられるんだろう。


 あ、さっき貰った『走り込み』スキルの詳細。

 ふむふむ、えぇっと──



【走り込み】

 移動速度上昇。



 足が速くなるスキル!?

 もしかしてヴェルさん。このスキルのことを知ってて、わたしにずっと走れって言ったのかなぁ。

 今度お礼言わなきゃ。


「あ、今何時だろう? お昼ご飯の時間、大丈夫かなぁ」


 ゲームの中だと三倍の速度で時間が進むから、いまいち現実時間のことを忘れちゃう。

 インターフェースを開いて時間を見ると、現実では11:48だった。

 うーん。お昼まであと10分!

 なんとなく勿体ないし、あ、そうだ。


 フレンドメニューを開いて、ロックんさんがログインしているのを確認。

 あ、ヴェルさんも一緒にいるみたい。二人とも所在地が『生産工房三階』になってる。


 通話状態にしてロックんさんに連絡。


『はいはーい。ロックんさんだよー』

「あ、ロックんさん。もうすぐご飯食べようと思ってログアウトするんですけど。少し時間が余ってて勿体ないから、錬成する物があればやりますけど、どうですか?」

『お、あるある。有難う』

「じゃあ行きますね」


 通話を終えて画面を閉じると、待っててくれたラプトルさんに声を掛けて出発。

 今日もロックんさんが部屋の前に出て待っててくれた。


「お待たせしました──ほえぃ!?」


 わたしを見るなりロックんさんがビックリした顔で弓を構えてる。

 もしかしてラプトルさん!?


「この子はわたしのホムなんですっ」

「え? え? ホ、ホムンクルス!?」






「レッツ『錬成』」」

「数多くてごめんね。昨日の分、即売れしちゃってさ」

「いえ。今日は参考画像見せて貰ったので、イメージもすぐ固まりましたし」


 インターネットが見れるってことは、こうやって錬成したい形を画像検索することが出来る。

 ロックんさんがあらかじめ、生地の量とかも考えて錬成可能なデザインの画像を探しておいてくれたから、直ぐにイメージ作りが出来た。

 今日は女の子の装備が十五着、男の人の装備が十着あったけど、錬成は五分も掛からない。


「それにしてもヴェロキラプトルねぇ。ミントちゃん、恐竜好きなの?」


 ロックんさんの部屋の中にいたヴェルさんが、そう言って手をわきわきしている。


『あ、あぎゃ……』


 ラプトルさん警戒中。


「ヴェル、怖がってるから止めろよ。ごめんねチョコ・ミントちゃん。こいつ爬虫類好きなんだ」

「え、ヴェルさんってトカゲ好きなんですか?」

「わりと好き。恐竜とか好きだよ。だから触らせて」


 あの手のわきわきは、そういう意味だったのね。

 

「チョコ・ミントちゃん。VITは……1だよね?」

「あ、はい」

「じゃあこれかな。錬成のお礼」

「えぇっ。で、でも……」

「いいのいいの。いろいろ半端に余った素材で作ったものだし。それにVIT5以下の装備って、そろそろ売れにくくなっててね」


 防具を装備するために、最低限必要なVITっていうのがある。

 そのことは紅葉ちゃんから教えて貰った。


「必要VITが最低数値の1でも着れる装備ってのはね、やっぱり防御力が低くなっちゃうんだ。次のランクの防具となると、最低5必要になる。だから魔術師でも5まで上げるって人もいるんだよ」

「ほえぇ、そうなんですかぁ」

「中にはVITを上げる『肉体強化』ってスキルをとりあえずセットし、5になったら外すって人もいるからね」

「ほえぇ。あ、スキルと言えば」


 スキルのセット枠の増やし方をロックんさんとヴェルさんに聞くと、意外な答えが返って来た。


「装備にあるスロットにセットすればいいんだよ」


 ──と。


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