第21話:ジュラシックだぞ

 名前:ラプトルさん

 タイプ:アタッカー


 HP:1050 MP:30

 STR:100   VIT:15   DEX:15

 AGI:100   INT:1


【習得済みスキル】

『引っ掻き:1』


【セット中スキル】


【装備】



**************************************



 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 。


 ラプトルさんの名前が……ラプトルさんになってる……。

 わ、わたしがそう呼んだから?

 じゃあ名前を呼ぶときって、ラプトルさんさん?


 そんなことよりも、ステータス凄いんだけど!?

 わたしだってDEXは100超えてるけど、他は全部1なのにぃ。


 あ、スキルのセットしてあげなきゃ。

 ホムさんのスキルセットも、錬金術師のお仕事なんだね。


 えぇっと今わたしのステータスが……



************************************


名前:チョコ・ミント

種族:ハーフリング

職業:錬金術師


STR:1   VIT:1   DEX:96+5+2

AGI:1+2  INT:1


【習得済みスキル】

『鞭術マスタリー:2』『錬成:2』『アイテム鑑定:1』

『採取:1』『発見:1』『コールホムンクルス』


【セット中スキル】

『鞭術マスタリー:2』『錬成:2』『アイテム鑑定:1』

『採取:1』『発見:1』『コールホムンクルス』


【装備】

・ワイヤーレザーウィップ[1]:『巻きつけ』

・初心者の服

・初心者のパンツ

・柔らかい革手袋[1](DEX+2)

・柔らかいショートブーツ[1](AGI+2)



**************************************


 

『コールホムンクルス』ってなんだろう?

 スキルを見ると、エンブリオに戻ったホムンクルスを再召喚するスキルだった。

 ホムさんの錬成が成功すると、無条件で習得できるとも書いてた。

 ラッキー♪


 そういえばDEXもぜんぜん上がってないし、早くステータスを上げられるスキルを手に入れなきゃなぁ。


「紅葉ちゃんは、ステータス系のスキルって持ってるの?」

「持ってるでござるよ。STRとAGIを上げるスキルを」

「ふえぇ、もう二つも!?」

「AGIはシーフギルドで買ったでござる。STRはNPCのイベントからでござるな」


 す、凄い……。


「主殿はDEXが欲しいんだよね。あ、ござるよね。じゃあアーチャーギルドに行けば、DEXを上げる『集中力』のスキルが売ってるでござるよ」

「本当!? 買えるかなぁ」

「2500ENでござる」


 2500……エンブリオ代で2000EN消えちゃったから、所持金は──

 あ、あれ?

 クエストで3000EN貰ったから、残金は1000ENだと思ったけれど、今持ってるのは2895ENだ。


「足りるでござるか?」

「う、うん。いつの間にかお金持ってた。エンブリオ買ったし、残り1000ENだと思ってたんだけど」

「モンスターを倒したときにも、お金が入ってるでござるよ?」

「え!? そ、そうだったの?」

「知らなかったでござるか? まぁ町の周辺のモンスターだと、一匹で10ENぐらいしか落とさないでござるが」


 そうなんだ……そうなんだ!

 嬉しいっ。じゃあスキル、ひとつ買っちゃおうかな。


「あと主殿。これまで拾ったドロップアイテム、全部まだ持っているままではないでござらぬか?」

「え? う、うん、そうだけど」


 紅葉ちゃん、何故か困った顔に。


「主殿。アイテムボックスには『素材タブ』と『装備タブ』『消耗品タブ』のほかに『収集品タブ』というのがあるでござる」

「ほぉほぉ」

「収集品タグの中には、素材にはならないアイテムが入るでござる」

「へぇ~」

「だから、そのタブに入るアイテムは、NPCに売るしか使い道がないのでござるよ」


 売るしか……ない。

 売る……売れるのおぉぉぉ!?






「せ、1750ENになったよぉ」

「初期のエリアの収集品は安いでござるが、さすがに溜め込んでいただけあっていいお金になったでござるな」

「うんっ。スキル一個買っても、余裕があるぅ」


 もうちょっと溜まれば、もう一つスキルも買えるね。

 そうしたら次はどのスキルにしよう……。

 ポーションを作るならINTも欲しいよね。


 INTかぁ。


「ねぇ紅葉ちゃん。INTのスキルって……魔法使いギルドに行けば売ってるのかなぁ?」

「INTでござるか? 錬金術師にINTって必要だったでござる?」

「うん。あのね──」


 ポーションの回復量はINTで増やせる。それを教えると紅葉ちゃんも「なるほどぉ。重要でござるな」と。

 DEXは今十分あると思うから、先にINT買っちゃおうかなぁ。


「魔法使いギルドに行くでござるか?」

「うんっ」

「じゃあ案内するでござるよ」

「ありがとう紅葉ちゃん! 行こう、ラプトルさん」

『あぎゃー』

「また走るのでござろう?」


 ヴェルさんの言いつけだもん。それに時間は限られてるし、走ろう!

 わたしと紅葉ちゃんが走ると、ラプトルさんもドドドドドドドって駆け出す。

 すぐにわたしを追い抜き、紅葉ちゃんを追い抜き、そしてUターンして戻って来る。

 走るとラプトルさんの頭上にある毛がびゅーってなびいて……抜けやしないかちょっと心配。


『あぎゃ』


 またラプトルさんが先行して走ると、他の人が慌てて道を開けてくれる。


「ひっ!」

「モ、モンスター!?」

「恐竜じゃんっ」


 はわわっ。みんなラプトルさんにビックリして、道を開けてるんだ。

 そ、そうだよね。恐竜が出てきたら、ビックリしちゃうよね。


「ご、ごめんなさーい。ラプトルさんはホムンクルスなんですぅ。ラプトルさん、戻って来てぇ」

『あぎゃ? んくぉぉーっ』


 ドドドドと戻って来たラプトルさんが、わたしの前で急停止。

 えらいえらいと撫でてあげると、嬉しそうに喉を鳴らしてくれる。

 ふふ、猫みたいな恐竜さん。


 ラプトルさんにはわたしの傍を離れないようにして貰って、魔法使いギルドに向かった。

 そこでINTを上げるスキル『魔力向上』を買って、セットして──。


「あ、そろそろ時間……」

「え……あぁ、もう11時半でござるか……もっと遊びたかった」

「そうだね。紅葉ちゃん、明日はどう?」

「某、午前中はその……塾があって……」


 塾!?

 紅葉ちゃん、塾通ってるのかぁ。


「高校受験ももうすぐでござるから」

「高校!? じ、じゃあわたしと同じ年だ!」

「え!? 主殿も受験でござるかっ」

「あ……え、えぇっと、そこは……」


 推薦、合格してるから……あとは遊んで暮らせるの……。

 それを話すと紅葉ちゃんは、心底羨ましそうに「いいなぁー」と長いため息を吐いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る