37
僕達は
深海の底で
彼女は小さな手で、
ぎゅっと僕の腕を
彼女は固まった小さな体で
窓の外の深海を見つめ続けていた。
ここではない
窓の外の深海と同じように、
深く沈んだディープブルーの瞳が、
そんな姿が窓ガラスに映り、
僕は
『追いかけよう』
彼女は
近くにあるバルブを回し始めた。
「追いかけるってどうやって?」
僕の問いに彼女は答えた。
『ボールは回転する、
中に人がいるとして回転させるには?』
僕は丸い
そして
船体の中でボールを転がすように歩く、
少年少女の姿を。
『そう歩くのよ』
彼女は真剣に僕を見つめそう言いきった。
『本船はこれより
「縮退運転って?」
『機能や性能を制限して動かすこと』
「機能を制限するって歩いて転がすんだよね」
『歩いて動かす』
『本船はこれより
そう言って彼女は僕を見つめる。
『じゃあ動かして』
まさかの人力!?
それ制限しすぎて、本体動いてないよ!
少女は前を指差し
『本船はこれより縮退運転に移行する!』
それ、無理しなくていいけど、
休むんじゃねーぞ!ってこと!?
彼女にかかれば
深海を回るサーカスの鉄球っと化すようだ。
アンバランスな心。
彼女の小さな体が、
彼女がまだ子供なのを思い出させた。
大人では考え付かない
子供には当然の発想。
小さな体に
そんな彼女を見つめ僕は思った。
彼女はまだ子供なのだと。
そしてその
未来を切り開くのだと
津波から逃れた時のその
蒼き臨界のストルジア 夜神 颯冶 @vx9
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