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『メガドロン・・・ 』


 

彼女は千切ちぎれたケーブルを見つめたまま、

そんな事をつぶやいていた。



それは150万年前にほろんだ海の王者。



巨大ザメ。



今まで見つかった化石の中で最大の物は、

全長18メートル。



まさに規格外きかくがいの化け物だ。



「メガドロンって・・・

 150万年前にほろんだサメのこと?」



僕は自然と疑問ぎもんが口をついて出ていた。



『うん。

 メガドロン・・・ 』



深海しんかいを見つめたままつぶやく彼女の目は、

本気だった。



本気でその存在を示唆しさしていた。



『ケーブル』



彼女は唐突とうとつにそんな事をつぶやいた。



『カーボンケーブルは、

 特殊とくしゅ炭素原子たんそげんしで出来てる。

 この世界の海洋生物に、

 みきれるものはいない。


 ただ1つの例外れいがいメガドロンをのぞいては。

 メガドロンの咬合力こうごうりょくは20トン」



それは太古たいこほろんだ、

幻の怪物の影をにじませていた。


存在そんざいするの!?」



当然の疑問ぎもんだった。



『うん。

 存在そんざいする。

 いえ存在させたの』



DNA操作か!?


まさか!?



『メガドロンは復元ふくげんされ逃げ出し、

 今もこの海域かいいきひそんでいる。

 この舟がこわれたのも襲われたから。

 ただ水深1万メートルの水圧にえる船体を

 くだく事は出来なかったけど、

 エンジンは壊された 』



それは衝撃しょうげきの告白だった。



映画でしか見たことのない、

メガドロンが存在そんざいする!



だが、そんな事が本当に可能なのか?



僕は少し考え結論けつろんむすぶ。


可能だ。


DNAの破片はへんさえ残って入れば、

DNAの近いその先祖せんぞのサメの受精卵じゅせいらんに、

その細胞組識さいぼうくみしきえ込み受精させる。


この方法で、

人工的にメガドロンの子供を生ませれば、

50%はメガドロンの子供が出来る。


その50%の子供にふたたび100%のメガドロンの

組識くみしき交配こうはいさせれば75%。



これをかえせばメガドロンは完成する。



すでにこの方法でマンモスを復活させる

プロジェクトも進んでいる。



だがすでにメガドロンで成功してたとなると、

その何年も前から、

彼女の組式はその計画を進め、

そのゲノム技術をもっていた事になる。



いや技術事態はそのころからある。



ただその発想があったと言う事がすごいのだ。



彼女が所属しょぞくするアレフとは何かと言う疑問ぎもんが、

あらたにわいた。


 

 

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