概要
エルバが夢から目覚めると、そこは見知らぬ荒野だった。手には夢の中で与えられた剣。
緑の絶えた荒野、荒廃した文明、異なる文化、襲い来る化け物、剣と魔法。
己の身に起きた事態を理解しないまま、エルバは世界を救う旅に巻き込まれてゆく。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!荒れ果てた世界で繰り広げられる、来るべき「花」と捧げられた「贄」の物語
「世界が白く燃えている」
という「白」に埋め尽くされた、夢なのか現実なのか定かでない、美しくも激しい場面から物語がはじまる中、主人公であるエルバは見知らぬ荒野で目覚めることになります。
エルバの手にあるのは、白い剣のみ。
状況の飲み込めない彼の元に、奇妙な獣が現れ襲いかかってくる――
という風に、物語はどんどん進んでいきます。
エルバが出会う人やものを通して、徐々に世界観が明らかになっていく構成がとても自然で、ファンタジーにありがちな説明されている感がありません。
描写も非常に精巧で、目の前に場面が浮かんでくるかのよう、エルバとともに荒涼とした世界を旅しているような気になります。それほど…続きを読む - ★★★ Excellent!!!緑のない荒野にも、命という花は咲く。
世界観設定が、凄かった。
精密に築き上げられたそれは、物語が進んでいくにつれて、どんどん深掘りされていく。
深まる謎。解けていく謎。世界が広がっていく様。
それに私たち読者は、抗う術もなく呑まれていく。一気読みは仕方のないこと。
そんな濃密な世界観設定に劣らない、キャラクターもまた凄い。
彼らは皆、性格が全く違う。共通点も薄い。
だが、彼らはそれでも協力し合って生きていく。
これが、人と人が『繋がる』ということだと、実感させられた。
違うからこそ、面白い。
違うからこそ、寄り添おうとする。
それが絆なんだと、読み進めていく中で、私の心にすとんと落ちた。
そして、彼らは物語を通して成長…続きを読む - ★★★ Excellent!!!それぞれの正義
気がつけば、見知らぬ場所に放り出されていたエルバ。
自分の知っている世界ではない場所で、追剥にあい全てを失う。
記憶の中にある白い人。
持っている白い剣。
彼に託されたこととは、一体なんなのか。
彼は何を選択し、何を学び、そしてどう生きるかを選ぶのか。
知らないことわからないことだらけの世界に放り出され、持っているものを全て奪われてしまったら、人は人を疑わずにはいられないだろう。
それでも、誰かと出会い共に旅をする中で、根底では信じる心を捨てられずにいる。
それが人というものかもしれない。
この物語には、現実の世界と重なる部分が多々ある。
作者は、今あるこの世界の現状をこの物語に重ねたの…続きを読む