荒れ果てた世界で繰り広げられる、来るべき「花」と捧げられた「贄」の物語

「世界が白く燃えている」
という「白」に埋め尽くされた、夢なのか現実なのか定かでない、美しくも激しい場面から物語がはじまる中、主人公であるエルバは見知らぬ荒野で目覚めることになります。
エルバの手にあるのは、白い剣のみ。
状況の飲み込めない彼の元に、奇妙な獣が現れ襲いかかってくる――


という風に、物語はどんどん進んでいきます。
エルバが出会う人やものを通して、徐々に世界観が明らかになっていく構成がとても自然で、ファンタジーにありがちな説明されている感がありません。
描写も非常に精巧で、目の前に場面が浮かんでくるかのよう、エルバとともに荒涼とした世界を旅しているような気になります。それほどに世界観が素晴らしい。

白い人。荒れ果てた世界。人を食らう獣ヒトハミ。贄の王国。
様々なものが絡みあい、物語の真実が明らかになる時、作品のタイトル『花の贄』という言葉がとても響いてきます……。

まずは第一話を読んでみてください。最初から引き込まれ、物語の世界にじっくりと浸れる優れたファンタジー小説です。
どうか、荒涼とした世界へ足を一歩進めてみて下さい。

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