花の贄

作者 ふづき詩織

30

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★★★ Excellent!!!

気がつけば、見知らぬ場所に放り出されていたエルバ。
自分の知っている世界ではない場所で、追剥にあい全てを失う。
記憶の中にある白い人。
持っている白い剣。
彼に託されたこととは、一体なんなのか。
彼は何を選択し、何を学び、そしてどう生きるかを選ぶのか。

知らないことわからないことだらけの世界に放り出され、持っているものを全て奪われてしまったら、人は人を疑わずにはいられないだろう。
それでも、誰かと出会い共に旅をする中で、根底では信じる心を捨てられずにいる。
それが人というものかもしれない。

この物語には、現実の世界と重なる部分が多々ある。
作者は、今あるこの世界の現状をこの物語に重ねたのではないか。
正義とは人それぞれの中にあり、相容れるのは難しいことだ。
それでも生きていかなければならないし、その上で平和を願わずにはいられない。
不条理な現実を突きつけられたエルバ同様、私も悔しくてならない。

最後の、フューレンプレアの「花を見に行ってきます。」
がとても素敵でした。彼女の、ふわふわっと微笑むような雰囲気を想像できました。
トップに立たなければいけないことで毅然としてきた彼女の言葉だからこそ、ジーンと来るものがあります。

しっかりとした世界観があり、文章も淀みなく読み進められます。
是非、ご一読を。

★★ Very Good!!

 植物がほぼ存在しなくなった世界と説明されている点に、まず惹かれました。

 ポストアポカリプスものといえば、当然のように荒野、廃墟を想像してしまう中、余計な一言と思う事もあるでしょうけど、私はこの一言で明確にイメージを固める事ができました。

 植物が存在しない世界といわれると、私は砂漠を想像しました。

 人を襲うヒトハミという存在、秘密があると感じさせられる登場人物たちが闊歩する、そんな場所だけれど、その砂漠が金色に輝いて見えるのは、丁寧な文章が持つ力でしょうか。

★★★ Excellent!!!

生まれ故郷のルスから突然、全ての植物が消えた世界へ送り込まれてしまったエルバ。
ヒトハミと呼ばれる人を襲い食べる生物が跋扈するこの世界で、エルバはどうすればいいのか。そしてそこで出会った仲間たちとの冒険の日々を綴った物語です。
お話も素敵でしたが、何よりキャラクターが魅力的!
清廉で純粋なプレアも可愛らしくて切なくて応援したくなりますし、明るい世界観とはいえないながら、そこに乾いた光を差し込ませてくれる(?)マッドパピーが私個人的なお気に入りでした。

作者様の圧倒的な知識量と情熱を感じる素晴らしい作品です。
ぜひご一読を!

★★★ Excellent!!!

視点の移り変わりが自然で、戦闘も臨場感がありました。
なにより、緻密な文章で描き出される重厚な世界観と、多彩な背景をもった登場人物たち。
作中の細やかな設定も楽しませて頂きました。

剣と三つの願いも物語の重要な要素であり、使い方も多彩。
読み進めていくと、なるほど、そういう意図だったのかと種明かしもされていきます。

また、垣間見えるテーマ性もこの物語を楽しむ上での一要素だと思います。
是非ともオススメしたい作品です。