花の贄

作者 ふづき詩織

63

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★★★ Excellent!!!

「世界が白く燃えている」
という「白」に埋め尽くされた、夢なのか現実なのか定かでない、美しくも激しい場面から物語がはじまる中、主人公であるエルバは見知らぬ荒野で目覚めることになります。
エルバの手にあるのは、白い剣のみ。
状況の飲み込めない彼の元に、奇妙な獣が現れ襲いかかってくる――


という風に、物語はどんどん進んでいきます。
エルバが出会う人やものを通して、徐々に世界観が明らかになっていく構成がとても自然で、ファンタジーにありがちな説明されている感がありません。
描写も非常に精巧で、目の前に場面が浮かんでくるかのよう、エルバとともに荒涼とした世界を旅しているような気になります。それほどに世界観が素晴らしい。

白い人。荒れ果てた世界。人を食らう獣ヒトハミ。贄の王国。
様々なものが絡みあい、物語の真実が明らかになる時、作品のタイトル『花の贄』という言葉がとても響いてきます……。

まずは第一話を読んでみてください。最初から引き込まれ、物語の世界にじっくりと浸れる優れたファンタジー小説です。
どうか、荒涼とした世界へ足を一歩進めてみて下さい。

★★★ Excellent!!!

まさにタイトル通り、花と贄の物語でした。

植物がなく、荒涼としながらも美しく、そして生々しく描かれる世界。

そんな世界の物語の中、「花」と「贄」は重要なキーワードとなります。
それだけでなく、登場人物の立場や経緯、そして世界観すらも、タイトルのたった三文字に集約されているのです。

読了ののち、「花の贄」という言葉の持つ意味を夢想せずにはいられませんでした。

やはり小説のタイトルとは、何よりも物語であらねばならないのだと思います。

(最初に見た時、湿っぽい微妙なタイトルだなぁ、と思ったのはまた別の話…。)

★★★ Excellent!!!

語彙力が灰燼と成り果てました。
異世界ファンタジー。そう、異世界ファンタジーなんです。
徹頭徹尾の異世界ファンタジー。

あらゆるところにギミック、トリックの仕掛けられた物語。
一つ一つ読み解いていく楽しさ、暴かれる謎。行き着く答え。
その全てに興奮しました。

どんな異世界ファンタジーを読みたかったんだいと訊かれたら、まさにこの「花の贄」のような作品だったと応じるでしょう。

……というくらいに今現在興奮しています。
繊細緻密かつ大胆に練り込まれた世界に、まさに冒頭の一瞬で引き込まれます。

途中から「なんだこれ、なんだこれ」と飢餓状態にあるかのように読みふけりました。圧倒的なファンタジー体験。艱難辛苦の旅、その果てにあるもの。

これは逸品、いえ、絶品です。
一人でも多くのファンタジーファンに読んでいただきたい!

自信を持ってオススメします。

★★★ Excellent!!!

世界観設定が、凄かった。
精密に築き上げられたそれは、物語が進んでいくにつれて、どんどん深掘りされていく。
深まる謎。解けていく謎。世界が広がっていく様。
それに私たち読者は、抗う術もなく呑まれていく。一気読みは仕方のないこと。

そんな濃密な世界観設定に劣らない、キャラクターもまた凄い。
彼らは皆、性格が全く違う。共通点も薄い。
だが、彼らはそれでも協力し合って生きていく。
これが、人と人が『繋がる』ということだと、実感させられた。

違うからこそ、面白い。
違うからこそ、寄り添おうとする。

それが絆なんだと、読み進めていく中で、私の心にすとんと落ちた。

そして、彼らは物語を通して成長していく。
でも、それを直接的には描かない。
あくまで、彼らの言葉から、行動から、それをうっすらと感じられる。

私が彼らの成長に気がついたのは、初めて成長について語られた時。最後の最後だ。
でも確かに、彼らの成長は私の記憶に刻まれていた。

人は、『変わらない』。だけど、『変わる』。
そんな人の矛盾した在り方が、この物語ではリアルに描かれていた。


濃い世界観、リアルに描かれたキャラクターたち。
読んで絶対に後悔することはないので、是非読んでほしい。

荒野で強く生きようとする、彼らの物語を見届けて欲しい。

★★★ Excellent!!!

気がつけば、見知らぬ場所に放り出されていたエルバ。
自分の知っている世界ではない場所で、追剥にあい全てを失う。
記憶の中にある白い人。
持っている白い剣。
彼に託されたこととは、一体なんなのか。
彼は何を選択し、何を学び、そしてどう生きるかを選ぶのか。

知らないことわからないことだらけの世界に放り出され、持っているものを全て奪われてしまったら、人は人を疑わずにはいられないだろう。
それでも、誰かと出会い共に旅をする中で、根底では信じる心を捨てられずにいる。
それが人というものかもしれない。

この物語には、現実の世界と重なる部分が多々ある。
作者は、今あるこの世界の現状をこの物語に重ねたのではないか。
正義とは人それぞれの中にあり、相容れるのは難しいことだ。
それでも生きていかなければならないし、その上で平和を願わずにはいられない。
不条理な現実を突きつけられたエルバ同様、私も悔しくてならない。

最後の、フューレンプレアの「花を見に行ってきます。」
がとても素敵でした。彼女の、ふわふわっと微笑むような雰囲気を想像できました。
トップに立たなければいけないことで毅然としてきた彼女の言葉だからこそ、ジーンと来るものがあります。

しっかりとした世界観があり、文章も淀みなく読み進められます。
是非、ご一読を。

★★ Very Good!!

 植物がほぼ存在しなくなった世界と説明されている点に、まず惹かれました。

 ポストアポカリプスものといえば、当然のように荒野、廃墟を想像してしまう中、余計な一言と思う事もあるでしょうけど、私はこの一言で明確にイメージを固める事ができました。

 植物が存在しない世界といわれると、私は砂漠を想像しました。

 人を襲うヒトハミという存在、秘密があると感じさせられる登場人物たちが闊歩する、そんな場所だけれど、その砂漠が金色に輝いて見えるのは、丁寧な文章が持つ力でしょうか。

★★★ Excellent!!!

生まれ故郷のルスから突然、全ての植物が消えた世界へ送り込まれてしまったエルバ。
ヒトハミと呼ばれる人を襲い食べる生物が跋扈するこの世界で、エルバはどうすればいいのか。そしてそこで出会った仲間たちとの冒険の日々を綴った物語です。
お話も素敵でしたが、何よりキャラクターが魅力的!
清廉で純粋なプレアも可愛らしくて切なくて応援したくなりますし、明るい世界観とはいえないながら、そこに乾いた光を差し込ませてくれる(?)マッドパピーが私個人的なお気に入りでした。

作者様の圧倒的な知識量と情熱を感じる素晴らしい作品です。
ぜひご一読を!

★★★ Excellent!!!

視点の移り変わりが自然で、戦闘も臨場感がありました。
なにより、緻密な文章で描き出される重厚な世界観と、多彩な背景をもった登場人物たち。
作中の細やかな設定も楽しませて頂きました。

剣と三つの願いも物語の重要な要素であり、使い方も多彩。
読み進めていくと、なるほど、そういう意図だったのかと種明かしもされていきます。

また、垣間見えるテーマ性もこの物語を楽しむ上での一要素だと思います。
是非ともオススメしたい作品です。