緑のない荒野にも、命という花は咲く。

世界観設定が、凄かった。
精密に築き上げられたそれは、物語が進んでいくにつれて、どんどん深掘りされていく。
深まる謎。解けていく謎。世界が広がっていく様。
それに私たち読者は、抗う術もなく呑まれていく。一気読みは仕方のないこと。

そんな濃密な世界観設定に劣らない、キャラクターもまた凄い。
彼らは皆、性格が全く違う。共通点も薄い。
だが、彼らはそれでも協力し合って生きていく。
これが、人と人が『繋がる』ということだと、実感させられた。

違うからこそ、面白い。
違うからこそ、寄り添おうとする。

それが絆なんだと、読み進めていく中で、私の心にすとんと落ちた。

そして、彼らは物語を通して成長していく。
でも、それを直接的には描かない。
あくまで、彼らの言葉から、行動から、それをうっすらと感じられる。

私が彼らの成長に気がついたのは、初めて成長について語られた時。最後の最後だ。
でも確かに、彼らの成長は私の記憶に刻まれていた。

人は、『変わらない』。だけど、『変わる』。
そんな人の矛盾した在り方が、この物語ではリアルに描かれていた。


濃い世界観、リアルに描かれたキャラクターたち。
読んで絶対に後悔することはないので、是非読んでほしい。

荒野で強く生きようとする、彼らの物語を見届けて欲しい。

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