第19話 私のお姉様(ローズ視点)

私には自慢のお姉様がいる。


大人っぽくてお人形みたいで…たまに微笑む姿は天使いや女神のよう…鮮やかな柔らかいアメジストの瞳に美しい銀の髪。


お姉様は私にたくさんのことを与えてくれた。


例えば勉学。

いつもお姉様が教えてくれる。

お姉様はとっても教えるのが上手いと思う…たぶん。だってほかの人に教わったことないんだもん!


それに友達。今はミントがいる。

ミントはかわいいのに偶に男の子だなぁ…って実感する。


パレードでは私を助けてくれてしかもエミリアという友達まで作ってくれた。


私はお姉様に貰ってばかり。お姉様は完璧。


でも…そんなお姉様が倒れた。


原因は不明…ってことになっていたけど…


エミリア曰く


「精神がやられているわ。トラウマと闘っている…あの子に注意しなくちゃ。」


最後に何か言っていた気がしたけど聞こえなかった。


そこまで大事じゃないかな…?


毎日、教会に行って神様にお祈りをした。


「神様…私のこと嫌いですか?悪魔の姿に似た…私のこと嫌いですか…?」


「嫌いなんかじゃないさ。」


「え…」


誰?ここには誰も居ないのに…まさか…神様!?なわけ…


「あるよ!」


「えぇー!!」


「僕は君のことどちらかというと好きだけど。まぁでも神様は平等じゃないといけないからね。」


「神様!お姉様を助けてください。」


神様ならきっと出来るはず!これでお姉様は…


「それは出来ないかな?神様は平等なんだ。世界中の病気の人に同じだけのことは出来ない。

誰かを贔屓することは世界のバランスが壊れること。

でも彼女は自分で立ち直れるよ。必ず。」


「本当…?」


「本当さ。指切りげんまんしようか。」


すると私の目の前に水色の髪に琥珀色の少年が現れて。

彼は私に小指を突き出してくる。


「指切りげんまん嘘ついたら針千本飲ーます。指切った!」


「あ!思ったより早く脱出したみたいだね。早く行った方がいいよ。」


「どこに?」


「王城に決まってるじゃないか。」


――!お姉様!


王城の病室にはロータスの手を握って眠るお姉様が居て。


「お姉様は…?」


「きっと泣き疲れたんだろ。」


お姉様が泣いた…?

そうだお姉様も私と同じだ…私は何を錯覚していた?お姉様は同じ人間だ。


泣いたり喜んだり辛かったりする。


私はお姉様を神と同じだとでも思っていたのかしら?恥ずかしい。

1番一緒にいたはずの私が…


私はもっと人と向き合わなければいけない。そう実感した瞬間だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る