第30話 精霊契約〈契約〉 (ライム視点)

不思議な浮遊感。浮いているのか落ちているのか上がっているのかすら分からない。


ゆっくりと瞳を開けると3歳位の女の子がいた。




「うわっ!」




「そんなに驚くことないのに……君が私の契約者さんだよね?」




僕は茜の滝に飛び込んで……もしかしてここが契約の間なのか……?




「大正解だよ!!!私はシエル!!!風の精霊王だよ!!!よろしくね!!!」




この子が風の精霊王……?話し方といい威厳が全く感じられない。




「あ!!!疑ってるでしょ!!!よく考えてみて!!!あのエミリアが精霊王なんだよ?」




「……確かに」




1000歳なのに僕達と一緒に行動してるあのエミリアがなれるなら……




「良かったぁ!!!可愛い子で!!!急に契約の間にこんな小さな子達を連れてくるなんて頭おかしくなっちゃったのかと思っちゃった!!!」




何だか……エミリアが可哀想に思えてきたよ。大人の姿はほんとに立派なら精霊王なのに。大人の姿は。




「というか!!!エミリアは大人の姿になれるのに!!!私はなんでなれないの!!!神様にダメだって言われたし!!!チッ幼女趣味でもあんのかよ……?」




神様に喧嘩売った?強くないかこの子。




「……怒られないの?」




「大丈夫!!!神様はお願いしたら許してくれるもんね!!!」




ぷくぅと口を膨らませる動作は拗ねているエミリアにそっくりだった。精霊同士似るのだろうか?取り敢えずエミリアが温厚な精霊王だということは分かった。




「まぁいいや!!!契約するよ!!!お目目閉じといてね!!!……風の精霊王、シエルの元に。あなたに風の祝福を。誓華の祈りを捧げます!!!」




終わったのか……体が暖かくなっていく……眠い……






「……そーだ。あなたに伝えなくちゃ!!!あなたの力は人を傷つける。心の中……過去を覗くのだから。そしていつか自分を傷つける。だから……優しく、強い心を持たなきゃダメ。忘れないで……あなたを大切にしている人が沢山いることを。行けない!!!もう時間だわ!!!……またね、ライトくん」




僕は暖かさに包まれながらゆっくりと目を閉じた。それは春風が吹いているようだった…




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「……クシュン……誰か僕の噂でもしたのかい…???」




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