第6話 突然の訪問 <届け>

この人も僕に遠いんだ。届かない場所にいるんだ。




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最近、貴族の家に遊びに行くようになった。


お母様は


「お友達を作ってきなさい。」




といったけどみんなニコニコ笑っているだけで友達にはなってくれなかった。

友達って何なんだろう?


ただニコニコ笑っているだけの関係?なんでそんなもの作らないといけないんだろう?


そのことに僕はもううんざりしていた。


お兄様は


「本当の友達を見つけてやるよ。」




と言ってくれた。お兄様は人の心が読める特殊能力者だ。お兄様が心を読む時は口元に手を当てる。


利益的なことを考える奴は友達じゃないらしい。




でも僕はお兄様に比べて何もできない。僕の特殊能力は特殊能力の強化だ。効果は1時間ほどだけ。


誰かがいないと僕はなにもできない。お兄様に手は届かない。

身長も勉学も……何もかも。




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今日はフローレス侯爵家に行くことが決まっている。


友達……作れるだろうか……

こうやって期待してはガッカリすることばかりだ。

フローレス侯爵令嬢は僕達兄弟のように年子らしい。




案内された部屋にはお人形さんみたいな表情を全く動かさない少女がいた。




その少女の話を聞いて思ったんだ。


この少女、ラベンダーはお兄様と同じ場所にいるんだ。お兄様は友達になれるかもしれない。


でも、僕は無理だ。僕には、手が届かない。どれだけ手を伸ばしても掠りもしない。






庭先で大粒の涙を流している少女を見たとたん人形に命が吹き込まれた。

彼女もおなじ人なんだなって失礼だけど感じてしまった。


それよりも泣いている彼女は僕にも手が届きそうだったから。手を伸ばしてしまったんだ。


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