第24話 精霊契約 <久しぶり>


窓を開けると暖かい春風が吹き抜ける。花の甘い香りがすぅーっと私を通り抜けていく。


「もぅすっかり春ね。」


コンコン


「はい?」


「お姉様!今日は街へ行きませんか?」


「そうね、すぐ用意するわ」


戦争を止めるなんて…こんなに幸せな日々を過ごしていたら忘れてしまいそう。街かぁ何処に行こうかな?ローズとお出かけなんて久しぶりだし。せっかくなら楽しまなくちゃ!


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「お姉様!見てください!夕日が川に映ってますよ!」


「本当に綺麗ね!でもあんまり身を乗り出すと危ないわよ。それにそろそろ帰らなくちゃ!」


「まって!最後に行きたい場所があるんです!」


行きたい場所?カフェも行ったし雑貨屋も行ったし…お花屋さんだって行った…ローズの好きなとこにはすべて行ったはず…


「マリア。」


「レオン様にはもう連絡済みです。」


仕事が早い!もぅマリア心読めるでしょ!ライム並みだよ…


「さぁ!行きましょう!」


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「お姉様!着きましたよ!」


ここって…


「精霊の森じゃない!」


「いらっしゃい♪ラベンダー!ローズ!」


「エミリア!久しぶり!」


そういえば暫くあってなかったなぁ…キラキラした笑顔が眩しい…よほど会いたがってくれたのが嬉しい。


パッと目の前の景色が変わる。


「転移…」


「よお!ラベンダー。」


ふわっと優しいクリーム色の髪が目に映ると自然に笑みがこぼれる。


「ロータス!久しぶりね!」


元気そうで良かった…


「ラベンダー!僕もいるよ!」


「ミント!ライム!5日ぶりかしら…?」


「違うよ!4日ぶりだよ!」


そんな細かいこと気にしなくていいのに。大人っぽいと思いきややっぱり5歳なんだなとたまに感じてしまう。


「お姉様…」


「ノア!あなたも来ていたのね!」


最初はライム達が王子と知って戸惑いまくってたのに…今度はエミリアが精霊女王と知り驚いてるみたい。当たり前か。これが普通の反応だよね!


「…お姉様って何者なんですか…?」


「ただ運がいい、予知ができるの5歳の女の子だけど?」


「それは…普通って…言いませんよ……?」


パンパン


「さて、お喋りはこのくらいにして本題に入りましょうか」


「本題…?ってなんなの?」


「決まってるじゃない!いわゆるよ」


この契約が運命の鍵だということを未だ彼女は知らない。

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