第33話 異能の覚醒

「「ラベンダー!!!ラベンダー!!!」」




「「お姉様!お姉様!」」




「……んっ……」




「……良かった……」




ここは……みんなの心配そうな顔とキラキラと飛び交う小さな精霊がまず目にはいった。


私は契約を……ガブリエルと契約をしたんだ……精霊契約……?というか天使契約…?


そこでふっとガブリエルの言葉を思い出す。




『貴女の信じているものが敵かもしれない。』




信じているもの……?みんなの顔が浮かぶ。その心配そうな顔に少しだけ恐怖心が湧いてしまったことに胸がキュッと苦しくなる。




またあの時みたいに……あの染み付いて離れない引きつった笑顔。泣き叫ぶあの声。


忘れよう、忘れようと蓋をしていた物が……




「ラベンダー……?」




「……!!」




ローズのぬくもりが肌を通じて伝わってくる。ぎゅっと強く抱きしめられたのは久しぶりだった。




「……ロー……ズ……」




「……大丈夫です、私、ローズがいます。」




「……ふぅ……ありがとう、ちょっと驚くことがあって取り乱しちゃった。もう大丈夫よ?」




「……本当に?」




良かった泣いてない。大丈夫、大丈夫。ここにはみんながいるじゃない。


優しい祖父母に、可愛い可愛い私の妹達。そして信頼出来る仲間。私は恵まれているんだ。




『信じることをやめないで』




深呼吸をして心を落ち着かせる。きっとガブリエルも応援してくれてる。私のことを。きっと好きでいてくれている。大丈夫。大丈夫だよ。私。




……よし!弱気ムードやーめた!こんなの私らしくないよね!




それよりもここは……白い大理石のような冷たい床……


しっかり辺りを見渡してみると出入口のない不思議な部屋だった。


……うーん……どうやってここから出るんだろう???




「あら、みんな起きたみたいね!」




「エミリア!」




「!!……ラベンダー……貴女……もしかして……」




「???」




「……お姉様が……どうかしたの……ですか……?」




「天魔契約をしたのね?……言い方が悪かったわ、天使か悪魔と契約したのね?」




私はゆっくりと頷く。




「……規格外にも程があるわ……私のところに来なかったのはそういうことなのね……しかも悪魔じゃなくて多分天使よね?なら尚更……天使と契約なんて片手で数えられるくらいしか居ないのに……」




小声でボソボソ何か言っているけど……聞こえないや……




「とにかく!みんなの異能も覚醒したけどあなたの異能の覚醒は他のみんなとは桁違いなの!!!ほら、予言してみて?」




ゆっくり目を閉じる……未来を頭に意識を込める……未来を見れば何かわかるはず……




これは……私の後ろ姿……?泣いている……?




「……見えた……いつか分からないけど、だいぶ背が伸びた私がいたわ。」




……あれ、もしかしたら……目に意識を移す。




「……!!」




みんなが次、どのように動くのかが先に頭に入ってくる。視界に入る動くもの全部がしっかり見える。




……これって……あれ?私、もしかして……転生者らしくチート能力貰えちゃったの……!?

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