第10話 精霊とパレード <出会い>
私が前世の記憶を取り戻してから約半年がたった。
どれだけの本を読んだだろうか。最近は王城からライムが本を持ってきてくれる。
王城はたくさんの歴史書がたくさんあるから読んでで飽きないんだよねぇ。
私の歴史オタクは今世でも健在か。
私の趣味で女の子らしいのって乙女ゲームやってたくらい……?
……悲しくなるからこれ以上考えるのはやめとこう。
さて、今日は国1番のお祭り!秋の収穫祭!でも浮かれてはいけない。
今日はヒロインが精霊に加護を貰う日。
神様の口ぶりからして性格悪い転生者のヒロインだから精霊が怪我すると分かっていて助けるだろう。
会ったこともないから滅茶苦茶偏見だけど……
そんな奴に加護を与えてたまるか!加護を貰うのはローズのように真っ白の心を持った人が加護を貰うんだ!
加護を貰うメリットは2つ。
魂を保護してくれるから心理操作系の特殊能力がほとんど効かなくなる。
それと体内の魔力量が倍に増える。
このこと目当てに精霊の森に足を踏み入れる人は多いが返り討ちになっている。っていうのがゲームの情報。
「お嬢様、そろそろ時間です。」
「ありがとう、マリア今行くわ。」
今日はローズは初めての収穫祭である。
最近は両親はローズが王子に気に入られていると思っているのかローズが外出する機会が増えた。
ローズもウキウキしているだろう。ライム達は来るのかな?来たとしてもお忍びだろうけど。
「お姉様!早く行きましょう。」
「あんまりはしゃぎすぎると迷子になるわよ。」
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………どこだ……ここ?
……迷子になりました。
前世では土地勘はあった方なんだけどなぁ。だってすごい人の数なんだもん!
「どうしたの?」
「迷子になってしまって……」
このミルク色の髪に淡いピンクの瞳…
「お名前を伺ってもよろしいかしら?」
「僕はロータス・ロードナイト。君は?」
ロータス・ロードナイト。攻略対象者じゃん!
騎士団長の息子で嘘を見抜く特殊能力者。
正義感が強くて、後に魔王を倒す勇者。
何故今出会うのだ……まあいつかは出会うと思ってたけどさぁ……
「私は……ラベンダー・フローレス。あのなんで私が迷っているって分かったの?」
「服だよ。別に着飾っているわけじゃないけど、庶民にはこの服高すぎるから。豪商か貴族の人かなって。」
「すごい観察眼ね。」
「君、ライムの新しい友達のラベンダーだろ?ほんとに仏頂面だなぁ!」
「生まれつきよ。それよりも早く道を案内して欲しいんだけど。」
きゃああああああああああ!!!
「!?」
民衆の悲鳴が響き渡る。寝てもいないのに予知が頭に入ってくる。
ローズと5人の少年少女がナイフを突きつけられている。
「早く行きましょう!」
「そっちは危険だ!」
「私は行かなきゃ。妹が危険な目に遭ってるの!」
「なんで分かるんだよ!」
「後で話すわ。貴方は逃げていいから。」
「あぁ、もう!仕方ないな!ほら、行くぞ。」
私はロータスに手を引っ張られながら中央広場まで走った。
どうか間に合って。
また…前世みたいにならないように。
また失わないように。
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