第3話 特殊能力者とこの世界
ローズに勉強や作法を教えるようになってから2週間が過ぎた。
この子、覚えるのがものすごく早い。私の倍のスピードで覚えていくのでこのままいくと追いつかれてしまいそうだ。
ローズはバカ設定だったが、それは家庭教師を幼少期につけてもらってなかったのも理由の1つだろう。
やっとここ2週間で記憶の整理も出来てきた。
この世界は私のしていた乙女ゲーム『僕と君のflowerdays』の世界。
タイトルの通り花がストーリーに関係してくるし、主人公や登場人物に花の名前が多い。
勿論私もその1人。
攻略対象は6人。
この国の王子様の兄弟、隣国の王子様、魔法使いの息子、騎士団長の息子、学校の先生。……正直、学校の先生はお勧めしない。
順番に攻略しないとルートが選べないのだが……先生はヤンデレなのだ!
他のキャラを攻略するために何度もヤンデレ回避をしようとして失敗したか……
先生には学園に入ってもかかわらないで行こう。
主人公や登場人物は特殊能力を持っている。勿論私やローズも。
私の能力は予知能力。夢で明日何が起こるのか分かる。
全部分かる訳じゃないけど強く印象に残るものは残る。
でも、前の刺されそうになったことは予知できていなかったのであまり過信しないほうがいいと思う。
ローズは主人公と同じ癒しの力で、殴られて痣ができてないのもその力のおかげだろう。
主人公の「彼女も私のように生きる道があったかもしれないわね。」っていうセリフ。
かっこいいなぁとか思ってたけど今となってはむかつくんだけど!
そしてローズの容姿と神話の関係。黒髪に赤い瞳は、地を滅ぼした炎の悪魔の姿として言い伝えられてる。
私が銀髪に紫の瞳といういいとこ取りで生まれたせいか……私のような子が生まれると期待したんだろう。
私は学園入学まで2年あるし、ローズには3年もある。先生や隣国の王子、魔法使いの息子には多分会うことはないだろう。
問題は後の3人だろう。
私達は侯爵令嬢なので会う確率がかなり高い。特に騎士団長の息子!
こいつは確実に会うと言ってもいい!
コンコン
「お姉様、いらっしゃいますか?」
「ええ、いるわ。入って。」
「お邪魔します。」
悩んでいる時はローズ天使を見るのが1番かもしれない。
見た目は確かに気が強そうだけど中身は優しくて困っている人には手を差し伸べられるmy angel。
「お姉様、今日はどんなお話を聞かせてくれるのですか?」
「そうね…可哀想なお姫様の話をしましょう。
ある小さな国にお姫様がいました。
そのお姫様は目が生まれつき1つ見えません。みんなは酷くお姫様を虐めました。
その時、隣の国の王子様が助けてくれます。「可哀想じゃないか。」と。
その王子様にお姫様は恋をします。
けれど王子様は綺麗な赤い瞳を持った女の子に恋をします。
そして王子様と女の子は結婚しました。
そのことを悲しんだお姫様は目をナイフで刺してしまいました。
……おしまい」
これはラベンダーがよく読んでいた物語だ。
今はどこにあるのか分からないけど……
「悲しい話ですね。」
「そうね…けれど人はこのお姫様に誰でもなれるのよ。人を1人愛せていたら人は生きていけるのよ。」
彼女が悪役にならないように私にたくさんの人に愛されて生きて欲しい。だから、私はこの世界で生きる。
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